SaaSを導入する企業が増えてきた中で、カスタマーサクセスという職種が注目されるようになりました。
しかし、カスタマーサクセスの定義を良く理解せずに、カスタマサポートと混同してしまっている方も多くいらっしゃいます。
本記事では、そんな方の為にカスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いを解説し、SaaSの理解を深めて頂ければ幸いです。
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目次 [表示]
カスタマーサクセスとは?
カスタマーサクセスとは、直訳すると「顧客の成功」という意味です。
提供するサービスを通じて、顧客を成功に導くためのサポートと、それによって企業が得る報酬の増加(売上アップ)を目的として営業活動する職種を指します。
カスタマーサクセスが重要視されている背景
近年、市場の消費活動が「所有」から「利用」へと変化し、高価なモノやサービスを購入するのではなく、必要なタイミングで必要な機能だけを選択するサブスクリプションが普及しています。
SaaS業界も、ソフトウェアを購入してPCにインストールして利用してもらう流れから、インターネットを通じてソフトウェアを提供し、顧客が必要な機能だけを選択した後にサブスクリプションとして契約する流れが主流となってきました。
SaaSは、顧客に継続して利用してもらうことで、利益を得る仕組みになっています。
そのため、顧客に自社サービスを継続して利用してもらうことが重要になり、顧客が自社サービスを利用した成功体験を実感させることが必要になってきました。
そこで注目されるようになったのがカスタマーサクセスです。
エン・ジャパン株式会社が運営する転職サイト「AMBI」「ミドルの転職」における2021年のカスタマーサクセス掲載求人数は、前年度と比べて約3倍に増加しています。
カスタマーサクセスSaaS業界だけでなく、D2C業界や金融・保険業界、製造業界、小売業界といった様々な業界が注目しています。
カスタマーサクセスの詳細についてはこちらの記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
カスタマーサポートとは?
カスタマーサポートは、電話対応が主な仕事です。電話対応は大きく分けると、顧客から掛かってきた電話の対応をする「受電業務」と、顧客や顧客見込みの相手に電話を掛けてアプローチする「発電業務」の2種類があります。
カスタマーサポートは、ここでの「受電業務」に分類されています。
既存顧客からの、製品やサービスの問い合わせの対応に始まり、クレーム対応など、顧客が抱える不満や問題を可能な限り素早く解消することが仕事です。
マーケティング情報をまとめているロックフェラー・コーポレーションの調査結果によると、顧客が離れている原因の70%は、サポート不足という調査結果があります。顧客離れの1番の理由は、サービスやプロダクトの品質ではなく、サポートの品質だったのです。
営業のように売上に直結する部門ではないので、注力していない企業が多かったのですが、サブスクリプションモデルのように、継続的に顧客支援が求められている近年では、その価値が見直されています。
カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い
ここからは、カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いを以下の6つのポイントに分けて解説します。
・仕事のスタンス
・目的
・評価基準
・他部署との関わり合い、社内での立ち位置
・求められるスキル
・KPI
それぞれ見ていきましょう。
仕事のスタンス
カスタマーサポートは受動的であるのに対して、カスタマーサクセスは能動的と言えます。
カスタマーサポートは、製品の不具合やトラブルが発生し、顧客からの問い合わせがあってはじめて動き出します。極端な言い方をすれば、問い合わせがなければ対応しなくても良いのです。
したがって、カスタマーサポートの基本は、顧客からの問い合わせを待つ仕事スタンスになります。
それに対して、カスタマーサクセスは、顧客から情報を収集して分析し、課題やトラブルを予想して、率先してアクションを起こします。
顧客満足度を上げる為に、顧客が課題を意識して、不満を感じる前に対処する攻めの姿勢が、カスタマーサクセスの仕事のスタンスです。
目的
カスタマーサポートは、顧客の問題解決を目的としています。
製品やサービスに関して、問題が発生し、問い合わせを受けたら、素早くかつ正確に解決する必要があります。問題が発生して、マイナスになってしまった満足度をなるべくフラットな状態に戻すことも目的の1つです。
カスタマーサクセスは、顧客を成功に導くことを目的としています。そのためには、課題を予測して先回りして解決する必要があります。
フラットな満足度をさらに増加させることも目的の1つとも言えるでしょう。
評価基準
カスタマーサポートの主な評価基準は、対応件数を見られる場合が多いです。1ヶ月に何件の問い合わせがあって、そのうちの何件解決できたかなどの実績を数値化して評価します。
また、顧客に対して満足度調査のアンケートを行い、その結果を評価として参考にするところも多いです。
一方で、カスタマーサクセスの評価基準は、チャーンレートです。チャーンレートとは、解約率のことで、他にも顧客離脱率や退会率とも呼ばれています。
SaaSのようなサブスクリプション型のビジネスモデルでは、利益を生み出すためにできるだけ長く継続して契約してもらう必要があるため、チャーンレートを低い数値で維持することが重要視されています。
このことが、SaaS企業にとってカスタマーサクセスが重要だと言われる理由でもあります。
業界やビジネスモデルによってチャーンレートの平均値は異なりますが、SaaSでは成功の目安となるチャーンレートの数値は、3%以下と言われています。
他部署との関わり合い・社内での立ち位置
カスタマーサポートは、営業サイドではなく、製造・開発サイドに属することが多く、開発部門や保守部門でコストセンターとして運営されています。
また、顧客からの問い合わせは、自部署内(カスタマーサポート部門内)で完結させることが多く、他部署との連携はほとんど無いです。
一方で、カスタマーサクセスは、営業やプロダクト企画・開発を担う部署との連携が非常に重要です。
各部署と横断的なコミュニケーションをとり、全社を挙げて顧客の成功を導くのがカスタマーサクセスのポジションです。
求められるスキル
カスタマーサクセスとカスタマーサポート、仕事内容が異なるため、求められるスキルにも違いがあります。
カスタマーサポートに求められるスキル
カスタマーサポートは、コミュニケーションスキル、判断力、自社製品への好奇心と深い知識が求められます。
顧客との接点が電話のみという、顔の見えない接客を行うため、聞き取る力と伝える力の両方を兼ね備えたコミュニケーションスキルが必要になります。
また、商品知識もとても重要です。たとえコミュニケーションスキルや判断力があったとしても、商品について何も知らなければ、顧客の問題は解決できないからです。
言い換えれば、カスタマーサポートとしての経験が短い方でも、商品知識さえ備えていれば、ある一定の顧客の課題を解決できるはずです。そのためにも、常に自社の商品知識をアップデートし、継続して学習していくスタンスも求められます。
カスタマーサクセスに求められるスキル
カスタマーサクセスに求められるスキルは、コミュニケーションスキルに始まり、営業力、コンサルティング能力などがあります。
コミュニケーションスキルは、カスタマーサポートと共通して、顧客の要望を聞き取る力、顧客の課題をしっかりと捉える力、伝える力が大切になってきます。
また、カスタマーサクセスは自ら顧客にアプローチを仕掛ける必要があるため、相手の感情を汲み取る力、プレゼンテーション力、提案する力も必要になってきます。このような営業スキルが必要なため、実際に、法人営業経験者が優遇される求人が多いです。
KPI
カスタマーサポートのKPIは、主に「顧客対応の効率性」と「満足度」に焦点を当てています。具体的には、問い合わせ対応件数、解決率、平均対応時間(First Response TimeやResolution Timeなど)といった数値が重要視されます。
一方で、カスタマーサクセスのKPIは、「顧客の成功」や「ビジネス成長の促進」に重点を置いています。最も重要な指標はチャーンレート(解約率)で、顧客が契約を継続する割合が低下しないよう取り組むことが求められます。
他にも、アップセルやクロスセルの成功率、顧客ライフタイムバリュー(CLV)、プロダクトの利用率といった、顧客との長期的な関係構築や収益向上を示す指標も重視されます。
このように、カスタマーサポートは受動的で問題解決に特化したKPI、カスタマーサクセスは能動的で顧客の成功や成長に焦点を当てたKPIが特徴です。
カスタマーサポートはカスタマーサクセスの代わりになるのか?
結論からいうとカスタマーサポートは、カスタマーサクセスの代わりにはなれません。
カスタマーサポートがカスタマーサクセスの代わりにならない理由は3つあります。
・目的・考え方が異なるから
・仕事のスタンスが異なるから
・求められるスキルが異なるから
1つずつ見ていきましょう。
目的・考え方が異なるから
カスタマーサクセスは、サブスクリプションモデルで利益を上げるために、顧客を成功に導く事、要はゼロからプラスを生み出すことを目的としています。
これに対して、受動的に顧客の問題を解決し、「利便性を損なわない」こと、要はマイナスをゼロに戻すことを重視するカスタマーサポートとは、考え方が異なるのです。
仕事のスタンスが異なるから
受動的で、基本「待ち」のスタンスのカスタマーサポートと違い、カスタマーサクセスは、顧客を成功に導くために積極的にアプローチを行い、顧客が求めていることや、課題に気づく必要があります
顧客の潜在的なニーズに顧客よりも先周りする能動的なスタンスがカスタマーサクセスには必要とされます。
求められるスキルが異なるから
カスタマーサクセスは、チャーンレート(解約率)の抑制だけでなく、既存顧客に積極的に働きかけることで、アップセルやクロスセルといったLTVを最大化させていく動きも求められます。
日頃から顧客に寄り添ったフォローをすることで、信頼関係が構築できれば、利益の増加に直接的に貢献することが可能です。
すでにカスタマーサポート部門があるため、カスタマーサクセス部門を立ち上げる必要は無い、と考えている企業もあるようですが、カスタマーサポートとカスタマーサクセスは、言葉の響きが似ているだけの別の職種だと考えていいでしょう。
SaaS企業以外にもカスタマーサクセスは必要
ここまで、カスタマーサクセスは、SaaSにおいて重要だと説明してきましたが、SaaS以外のビジネスでも重要になります。
なぜなら、製品やサービスに関わらず、顧客はその製品やサービスを利用して得られるメリット(効果)やベネフィット(恩恵)を求めているからです。
誰もが知っている有名企業のApple社を例に挙げて、お話します。
Apple社は、AppleMusicを始めとしたSaaSだけではなく、MacbookやiPhoneを始めとした、売り切り型のハードウェアも販売しています。
スタイリッシュで使いやすい製品デザインを気に入った方の中には、普段使用しているパソコンからスマートフォンまで身の回りの物をApple社の製品で揃えている方も多いでしょう。
Apple社は、「Apple製品を使う方たちの生活が快適になる」という顧客のベネフィットを意識し、パソコンやスマートフォンの操作に不慣れなユーザー向けに、アップルストアの中に設けられた、ジーニアスバーという拠点で、使い方のレクチャーを行っています。
このジーニアスバーにより、使いにくい、使い方が分からないという理由で顧客離れが起きることはなく、Apple製品を使い続けてもらうことに繋がっているのです。
カスタマーサクセスは、顧客が期待する成功の実現を目指し、良質な顧客体験を中長期的に提供するものです。
その姿勢は、様々な業界やビジネスモデルにおいて必要になるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ここまで、カスタマーサクセスとカスタマーサポートのそれぞれの解説から始まり、カスタマーサポートはカスタマーサクセスの違い、SaaS以外にもカスタマーサクセスは必要になる、ということをお話させて頂きました。
本記事が、SaaS業界への転職を考えている方々の知識や情報収集の参考になりましたら幸いです。
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