カスタマーサクセスとは?カスタマーサポートとの違い、キャリアパスを解説

SaaS転職

「カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違いとは?」

「最近良く聞くけどカスタマーサクセスってどんな仕事?」


こちら(カスタマーサクセスの求人数が12倍に増加中?!注目の仕事内容を詳しく解説!)の記事でもご紹介している通り、2020年から現在までにかけて、カスタマーサクセスの求人数は右肩上がりに増加中です。


しかし、カスタマーサクセスの実際の仕事内容などをご存知の方は意外と少ないのではないでしょうか?


そこで今回は、求人数は増加しているのにまだあまり知られていない、カスタマーサクセスの仕事内容やカスタマーサポートとの違いについて解説いたします。


少しでもカスタマーサクセスに興味のある方は、是非最後までご覧ください。

カスタマーサクセスとは

まず初めに、カスタマーサクセスについてご紹介いたします。

顧客を成功に導く仕事

カスタマーサクセスとは、名前の通り「顧客の成功」を目的とした職種で、SaaS業界で期待されている職種とも言えるでしょう。


カスタマーサクセスのゴールは、顧客にサービスの利用方法などを積極的に働きかけ、顧客を成功(※)に導くことで自社サービスを永続的に利用してもらうことです。

※顧客の成功=顧客が自社サービスを利用にあたり期待していた成果を得ること

カスタマーサクセスの仕事内容とは

企業によって違いはありますが、カスタマーサクセスは顧客によるプロダクトの利用段階で仕切られ、それぞれの役割ごとにチームに分けられています。


それがオンボーディング、アダプション、エクスパンションです。1つずつ見てみましょう。

1.オンボーディング

主に導入支援を行うチームです。


導入当初に起こる初期設定や不具合などに関するトラブルのサポートを、メールやオンラインで対応して利用促進を行います。

導入初期につまずく方も多く、どれだけ良いプロダクトだったとしても使ってもらえなければ良さを分かってもらえません。


そのため、導入後に使ってもらえる段階にすることがとても重要であるため、オンボーディングチームは重要度の高い仕事です。

2.アダプション

顧客がサービスを利用でき、プロダクトを使いこなせているかを確認するチームです。


プロダクトが継続的に利用されているかを分析して、使いこなせるようになるためのサポートやアクションプラン策定などを担うチームです。


プロダクトの良さを沢山知っていたり、そもそもプロダクトに関する知識がないと使いこなせるようになるための説明ができませんので、このポジションではプロダクトに関する深い知識が必要となります。

3.エクスパンション

顧客がプロダクトを手放せない状態になり、契約更新をしてもらうことを目指すチームです。


ヒアリングを実施して顧客自身が気づいていないような課題を見つけ出し、よりプロダクトの価値が高くなる施策を考えてアプローチを行っていきます。

顧客のニーズを引き出すヒアリング能力や、そのニーズを解決できる使い方を説明するためのプロダクトに関する細かい知識も必要です。

カスタマーサクセスの仕事内容にご興味のある方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
カスタマーサクセスの求人数が12倍に増加中?!注目の仕事内容を詳しく解説!

カスタマーサクセスの目標とは

先ほど少しだけ記載しましたが、サブスクリプション型のサービスを提供する企業が注意すべきことは解約率とLTV(顧客生涯価値)です。


この2つは、カスタマーサクセス職として仕事をする上で意識しなければならない指数なので、カスタマーサクセスに興味がある方は覚えておきましょう。


また、如何に低い解約率と高いLTVを維持できるかがカスタマーサクセスチームとしての目標になることが多く、この2つの指数を会社は日頃からチェックしています。

ここでは、解約率とLTVについて解説します。

解約率

一定期間中に、自社との取引を中止した顧客の割合を指すもので、「チャーンレート」とも呼ばれています。


解約される理由としては、

・費用が高い/合わない
・使い方が分からない
・自分達に必要なのか分からない

などが挙げられ、企業によっては毎日チェックしているところもあります。


解約率を下げるためには、提供しているサービスが企業にとって「なくてはならないもの」にすることが重要です。

企業と積極的に連絡を取り、サービスの利用方法に関するレクチャーや、課題をヒアリングして課題の解決方法を提示するなどを積極的に行っていけるといいでしょう。

LTV(ライフタイムバリュー)

LTVとは顧客生産価値の意味で、顧客が契約開始から終了までの間にどのくらいの金額を使ったかを表したものです。


そのプロダクトを長く使ってくれることも重要ですが、料金プランや自社が提供しているサービスが2つ以上ある場合は、契約したプロダクトよりも高い料金プランへの変更(アップセル)や、他のサービスを使ってもらう(クロスセル)ことも重要です。

SaaSなどのサブスクリプションモデルのビジネスにとっては利益創出のための最も重要な指標の1つです。

これもカスタマーサクセスにとって大事!「タッチモデル」

タッチモデルとは、LTVに応じて顧客を「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」の3段階に分類し、それぞれの顧客層に対して適切なアプローチを行う手法のことです。

主にオンボーディングの段階で活用されることが多いようです。

これもカスタマーサクセスにとって大事!「タッチモデル」

ハイタッチ

大口顧客への対応のことを指します。


3段階のうちで最も高いLTVが見込めて、顧客数も最も少ないため、手厚いフォローが可能です。

将来的に売上により貢献していただける顧客層と考えられ、マンパワー・コストをかけてでも個別に柔軟な対応をするべき層になっています。

ロータッチ

ハイタッチよりはLTVが低いが、最下位のテックタッチよりは高いLTVが見込める顧客層に対するサポートを指します。

対応はハイタッチとテックタッチの間くらいの手厚さでフォローをします。


個別での対応や電話やメール、ウェブ会議ツールを活用した一斉対応を行うこともありますが、LTVに見合うようにグループでの集団対応が基本的な考え方になります。

具体的には、1対複数名のワークショップやセミナー、トレーニングプログラムの提供といった対応が考えられます。

テックタッチ

LTVが最も低い顧客層です。

費用対効果を考えると、あまり手厚いフォローは行うことはできないと考えられてますが、顧客数は最も多いため無視することは絶対にできません。


電話やメール、ウェブ会議ツールを活用したり、マーケティングオートメーション、チャットポッドといった様々な手段を用いて、一定の品質を担保しつつ、効率的な対応をするのが基本です。

カスタマーサポートとの違いとは

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは言葉も似ており、どちらも顧客満足度の向上を目指している点が共通していることから混同しやすい職種の1つです。

しかし、2つの職種には顧客に満足していただくためのプロセスや顧客との接点を持つ姿勢に違いがあります。


スタンスを例に挙げると、カスタマーサポートは顧客からの問い合わせがあってから初めて動くため、基本的に待ちの姿勢になります(受動的)。

一方カスタマーサクセスは能動的で、事前に課題を予測しておき、顧客からお問い合わせが来る前やなにか問題が起こる前にこちらから解決する攻めの姿勢です。


顧客に対応する姿勢を見ていくと、攻めのカスタマーサクセスに守りのカスタマーサポートという印象を受けます。

カスタマーサクセスカスタマーサポート
顧客を成功に導くことが目的顧客の課題を解決することが目的
課題を予想し、問い合わせが来る前に解決するスタンス顧客からの問い合わせに対応するスタンス
顧客の満足度を維持することにより、自社サービスを継続的に利用してもらうことを重要視している顧客からの問い合わせに対応して、如何に迅速で正確に課題を解決できるかを重要視している
能動的受動的


更に詳しいカスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いはこちらの記事をご覧くださいませ!

【解説】カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いとは?

カスタマーサクセスの求人は増加傾向

求人サイトを見ていて感じている方もいるかもしれませんが、近年、カスタマーサクセスの求人が増加しています。


どれくらい増加しているのか、そしてなぜカスタマーサクセスの求人が増加しているのでしょうか?

どれくらい増加しているのか

転職サービス「doda(デューダ)」を運営するパーソルキャリアが、新しい時代に求められる営業職に対する調査を行いました。


その結果、2019年1月と2022年1月で比較すると、営業職の求人掲載数は約12倍に増加していることが分かりました。


営業職全体の求人掲載数はほぼ横ばいであることから、この約12倍の増加数の多くは「インサイドセールス」「カスタマーサクセス」の2つの職種が特に増加していると捉えられます。

※参照:PRtimes 新しい時代に求められる営業職

なぜカスタマーサクセスの求人が増加しているのか

カスタマーサクセスの求人が増加している一番大きな理由は、新しい時代に求められる営業職として「インサイドセールス」と「カスタマーサクセス」が挙げられているためです。


先ほどのグラフを見ると、2020年の9月から求人数が急激に増え始めていることがわかります。

これは、新型コロナ感染症拡大をきっかけにして、「働き方」が変化したことから、多くの企業がリモートワークを整備するために新システムを導入し、非対面が中心となるような営業手段に変えた影響によるためです。


働く側のリモートワーク希望者も増えており、リモートワークを導入している企業も増えていることから、新しい時代に求められる営業である「インサイドセールス」と「カスタマーサクセス」のニーズは、今後も拡大していくと予想されています。


カスタマーサクセスに転職するために有利なスキルとは

今後も拡大し続けていくと予想されているカスタマーサクセスに転職したいという方も多いでしょう。では、カスタマーサクセスに転職するにはどのようなスキルや経験が有利に働くのでしょうか?


顧客企業の規模や成熟度によって、求められるスキルが違ってきますが、顧客のビジネスを理解することや能動的に顧客と関わっていこうとする熱意は基本となる要素です。

現在、カスタマーサクセスは経験者の数が少なく、未経験でも転職が可能だと言われています。関連するスキルや経験がアピールできると、他の転職希望者と差をつけることができるでしょう。


ここではカスタマーサクセスに必要だと言われているスキルを3つ挙げて解説します。

コミュニケーションスキル

カスタマーサクセスは顧客の課題やニーズをいかにヒアリングし、特定できるかがポイントです。顧客だけでなく、プロダクトに関する質問を開発チームに確認したりなど、一人では解決できない問題に対して周りを巻き込んで対応していくこともありますので、社内外問わず円滑にコミュニケーションをとる必要になる場面が多くあります。


また、継続して自社サービスを利用してもらうためには、顧客との信頼関係を築くことが大事です。顧客の立場になり、当事者意識をもって、顧客との信頼関係を構築できる力が求められます。

転職の際の面接では、ヒアリング力や周囲を巻き込める力、コミュニケーションスキルのレベルが見られることが多いです。

情報を分析して、課題を解決するスキル

カスタマーサクセスが最も意識しなければならないのが、「解約率」「LTV」です。

解約率の低下とLTVの最大化を目指すには、顧客の課題を解決し続けるしかありません。


自社サービスを最大限に活用してもらうために、定量・定性情報を分析し、現状の課題を見つけだして、最適解となる提案までできるスキルが求められます。

企画・業務設計スキル

カスタマーサクセスは情報を分析し、課題を発見して解決策を見出したら実際の業務に落とし込むサポートまで行います。

業務の改善や追加、もしくは業務自体を整理してなくしたり、システムが変化すればおのずと業務フローも変化します。

業務にかける時間や人手、費用までが変わっていきますので、最終的に顧客を成功に導くためのプロセスを考えて提案しなければなりません。

カスタマーサクセスのキャリアパス

国内でのカスタマーサクセスの価値が高まっていることもあり、カスタマーサクセスのキャリアパスは多岐に広がりつつあります。

今後もニーズが高まり、求人も増えて、様々なキャリアパスが展開されることになるでしょう。


ここでは代表的な3つのキャリアパスを紹介します。

カスタマーサクセスチーム内でキャリアUPを目指す

前半で記述していますが、カスタマーサクセスは「オンボーディング」「アダプション」「エクスパンション」の役割ごとにチーム分けされていることが多いです。


仕事の難易度がチームごとに違うので、難易度が低いとされているチームから難易度が高いチームへのキャリアUPがキャリアパスの1つとして考えられます。ここで1番難易度が高いとされているのは「エクスパンション」(追加提案・契約受注)です。


難易度が高いと言われている理由は、顧客との信頼関係を築いた上に、現状の契約よりさらに上の契約を獲得する必要があるため、高いコンサルティング要素と営業要素の両方のスキルが必要とされるからです。


役割別のチーム内でもトップの存在になれれば、おのずと様々なキャリアパスの可能性も開けてくることでしょう。

マネージャーや役員などの管理職に昇進

カスタマーサクセスの一般的なキャリアパスでもあるのが、チームのマネージャーや役員などの管理職(マネジメントポジション)への昇進です。


様々な業界の企業を担当し、事業を成功へと導いた結果と経験が積み重なれば社内でも一目置かれる存在になるでしょう。

特にカスタマーサクセスの最終形態ともいえるCCO(最高顧客責任者)になれれば、より幅広いキャリアパスが期待できるでしょう。

カスタマーサクセスの専門家として、フリーランス・コンサルタントへの転身

継続的に企業を成長へと導く結果を積み重ねていければ、社内で一目置かれるような存在になり、自然と外部の企業にも存在感を表すことができるようになります。


カスタマーサクセスは、企業の経営領域にも踏み込んで仕事をするため、比較的役職の高い方々との会話が日常的におこります。

管理職同士、もしくは経営者同士の口コミで広がり、担当をご指名でお願いされたり、引き抜きの話などが舞い込んでくることは珍しくありません。


そのような状態になれば、組織に属して仕事する以外に、独立して仕事をすることも可能になるでしょう。

カスタマーサクセスの立ち上げの設計や構築アドバイザー、カスタマーサクセスメンバーの人材育成を担うコンサルタントとして仕事をするキャリアパスも開けてくるでしょう。

カスタマーサクセスとは…今後も需要が伸びる仕事

いかがでしたでしょうか。

現在注目度が高く、求人数も増加傾向にあるカスタマーサクセスの、仕事内容や求人が増加している理由、今後のキャリアパスについてご紹介してきました。


カスタマーサクセスは求人の増加数でもご紹介したように、ここ最近で求人が増加している需要が伸び始めている職種です。

今このタイミングでカスタマーサクセスに転職すると、求人のさらなる増加とともに市場価値を上げにいくことができるでしょう。

カスタマーサクセスへの転職にご興味のある方は、是非一度、未経験からカスタマーサクセスへの転職サポート実績もある、SaaS業界への転職に強い転職エージェント『キャリア・エックス』にご相談ください!


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