カスタマーサクセスとKPIの解説

SaaS

カスタマーサクセスは、SaaS企業にとって、売上・利益向上のために重要な職種です。

カスタマーサクセスの方向性を決めるものでKPIというものがあります。

本記事では、カスタマーサクセス、KPIの解説から始まり、最後にはKPI設定のポイントやそれを達成するためのコツを紹介します。

ぜひ最後まで読み進めて頂けたら幸いです。

カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスとは、直訳すると「顧客の成功」という意味です。

顧客を成功に導くためのサポートと、それによって企業の売上アップを図ることを目的として営業活動を行う、SaaSの特徴的な職種です。

近年は、高価なモノやサービスを購入して所有するのではなく、必要な機能だけを必要な期間だけ選択して利用するサブスクリプションが普及しています。

ソフトウェアを購入してPCにインストールして使用してもらう流れから、インターネットを通じてソフトウェアを提供し、その中から必要な機能を選択した後のサブスクリプションとして契約する流れが主流となってきました。

サブスクリプションは、顧客側から見ればコストパフォーマンスが高く、今まで躊躇していたモノやサービスに手が届きやすいのが魅力ですが、提供する側からすると1つあたりの単価がそう高くありません。

ですので、より多くの顧客にできるだけ長い期間利用してもらわなければ利益を得られません。

そこで、注目されるようになったのがカスタマーサクセスです。

国内企業では、「聞いたことがない職種」だという方や、マーケティングの仕事の一部と捉えている企業があったりと捉え方にバラつきがありますが、海外では、カスタマー部門として独立した組織として業務を行うのが一般的です。

サブスクリプションモデルの料金形態が主流なSaaSでは、特に重要視されています。

サブスクリプションとは何か?

サブスクリプションは、英語で「定期購入、継続購入」という意味があり、もともとは新聞や雑誌の定期購読を意味する言葉でした。

現在では、定期的に料金を支払うことでサービスを受けられるビジネスモデルのことを指します。

1カ月や1年間分の料金を支払い、好きなタイミングでサービスやコンテンツを楽しめるような仕組みで、「定額課金」とも言われています。

日本でこの言葉が使われ始めたのが2019年だと言われており、サブスクリプションの略語である「サブスク」がその年の流行語大賞にノミネートされる程、良く耳にしました。

株式会社矢野経済研究所が公表した市場動向調査によると、サブスクリプションビジネスの2018年度の国内市場規模は5,627億3,600万円、毎年成長を続け、2023年には8,623億5,000万円にまで拡大すると予想されています。

国内でのサブスクリプション流行のきっかけは、カーシェアが挙げられます。

定額料金でお好みの車種を希望する期間だけ乗ることができ、駐車場の心配が無い点が利用者増加の理由になっています。

また、世界的な事例では、マイクロソフト社が挙げられます。

マイクロソフト社は、元来、パッケージ買い切り型のソフトウェアを販売しており、バージョンアップごとに再購入をしなければ最新の機能を使用できませんでした。

そこで、サブスクリプションビジネスとして登場したパッケージが「Office365」です。

月額や年額料金を支払うことにより、常に最新バージョンのアプリケーションを利用することができます。

買い切り型のものよりも、コストダウンになるということで、多くの企業を取り込むことに成功し、日本でも同じサービスが展開されています。

KPIとは?

KPIとは?

KPIとはKey Performance Indicatorの略で、日本語訳で「重要業績評価指標」という意味です。

最終的に達成したい目標に至るまでのプロセスにおいて、達成度合いを測る定量的な指標のことを表します。

組織の目標を達成するための重要な業績評価の指数を表し、達成状況を定点管理することで、組織のパフォーマンス動向を把握できるようになります。

あくまでもプロセスを定量的に評価するための指標ですので、全てのビジネス分野に共通する項目はありません。

業界の違いや部署の違い、活動内容が変わればKPIに設定する項目も変わります。

セールスにおけるKPIを設定するメリットは、組織としての効果だけではなく、1人1人の成果が目に見えるため、パフォーマンスや評価が明確になる点が挙げられます。

似ている単語「KGI」と「KFS」

「KGI」と「KFS」の2つの単語は、KPIと関連する単語です。

ですが、KPIと混同してしまって、設定が上手くできていない企業も見られます。

「KGI」とは、Key Goal Indicatorの略で、ビジネスの最終目標を定量的に評価する ための指標です。

売上高や成約数、利益率などがこれになります。

一方で、「KFS」はKey Factoe for Successの略で「重要成功要因」という意味です。

つまり、成功への鍵を握る要素のことです。

他にもKSF(Key Success Factor)やCSF(Critical Success Factor)などがありますが、どちらもKFSと意味は同じと捉えて構いません。

KPI,KGI.KFSのそれぞれの違いと関係性

KPI,KGI.KFSのそれぞれの違いと関係性

KPI、KGI、KFSのそれぞれの特徴は以下の通りです。

  • KPI:Key Performance Indicatorの略で「重要業績評価指標」という意味です。目標に達するための各プロセスが適切に実施されているかどうか定量的に評価するための指標になります。
  • KGI:Key Goal Indicatorの略で「重要目標達成指標」と訳されます。特定の期間、何をどれくらい達成するかといった最終目標を数値で指標化したものです。
  • KFS:Key Factoe for Successの略で「重要成功要因」という意味です。近年では、「目的を達成するための要因」として広義の解釈が行われるようになりました。

これら3つの関係性は、KGIというゴールのためにKFSを抽出し、それを数値化したものがKPIです。

1つ例を挙げてみましょう。

  • KGI:1年間で新型PCの売上を1,000万円に設定。
  • KFS:古いPCを使用しているユーザーを中心にアプローチ。
  • KPI:各店舗毎月の売上を100万円に設定。

進捗状況次第では、KFSとKPIの見直しを図りながらKGIを目指す、という流れになります。

KPI設定のコツ

KPI設定のコツ

KPIを設定する際には「SMART」を意識すると良いでしょう。

「SMART」とは、KPIを設定する際に意識すると良い5つのポイントの頭文字からとったものです。

その5つのポイントを解説します。

Specific(明確性)

KPIは、組織内で共有するものなので、誰が見ても理解できる指数を設定することが大事です。

KPIが曖昧なものや、限られた人にしか分からないものだと、社員は何をすれば良いのか理解できなくなります。

Specificは、KPI設定の基本となるポイントなので、重視しましょう。

Measurable(測定可能)

KPIでは、目標の進捗状況を確認して、適切な業務が行われているかチェックします。

その際、具体的に数値化出来ていれば課題の早期発見にもつながり、PDCAを回しやすくなります。

数値化できないKPIでは、目標の達成度を正確に見極めることが難しいです。

Achievable(達成可能)

達成が非常に困難なKPI設定は、社員のモチベーションを下げてしまう要因になります。

そのため、達成の可能性が高いKPIを設定し、それを社員全員に納得してもらうことが大事です。

努力すれば、達成できるかもしれないと社員に思ってもらうことが重要になります。

Related(関連性)

KGIはKPIと強く関係しています。

KPIはそもそも組織の目標を達成する目的で設定されるものです。

KPIが適切でなければ、組織が掲げる目標を達成できなくなります。

そのため、KPIはKGIを含め、他の上層で設定しているKPIと強く関連していることが重要です。

Time-bounded(適時性)

業務を効率的に行うためには、KPIにおいて期限を設ける必要があります。

期限が設定されていないと、後回しになってしまい、最終的には誰もやらない、なんてことになってしまう可能性があります。

期限を設けることで、期限最終日から逆算して具体的に何をするべきかというようなアクションを決められます。

カスタマーサクセスにおけるKPI設定

カスタマーサクセスにおけるKPI設定

ここでは、カスタマーサクセスで設定するべきKPIを解説します。

カスタマーサクセスで特に重要なKPIは、解約率(チャーンレート)、オンボーディング完了率、アップセル・クロスセルの3つだと言われています。

解約率(チャーンレート)

サブスクリプション型のサービスで利益を上げるためには、新規顧客を増やすよりも、現在契約している顧客の解約を防止することが重要です。

なぜ、解約率を抑えることが重要なのでしょうか?

例を挙げて説明します。

サービスを提供して1年目は、新規顧客数=売上に直結します。

顧客がより多く、そして客単価が上がれば上がるほど、全体の売上が上がるのです。

2年目からは、新規顧客に加えて、前年から契約を継続してくれている顧客の売上も積み重ねられていきます。

これがサブスクリプションならではの構造です。

解約率(チャーンレート)は、顧客数からみた解約率である「カスタマーチャーン」と売上額からみた「レベニューチャーン」があり、サブスクリプション型ビジネスの場合、レベニューチャーン率を導き、売上にどう影響するかを理解しなくてはなりません。

オンボーディング完了率

オンボーディング完了率とは、製品やサービスを顧客が活用できる状態になることを指します。

製品やサービスを契約してもらっても、活用方法が分からなければ成功に導けません。

まずは、製品やサービスの活用方法を理解してもらう必要があります。

具体的には、顧客が使用方法を理解し、初期設定などを済ませていることが条件になります。

オンボーディングの定義は、企業やその製品・サービスによって異なります。

初期設定を済ませてログインすることや1ヵ月以内にアカウントを作成し、プロフィール入力を済ませていることなど、定義は様々です。

オンボーディング完了率を重視する理由は、解約率と関係しているからです。

スマホのアプリなどで「インストールしたけど使ったことがない」という経験がある方は多いでしょう。

これはオンボーディングが完了していないということです。

このようなアプリはいずれ、アンインストールされてしまいます。

オンボーディングが完了していなければ、解約率が向上してしまうのです。

アップセル・クロスセル

アップセルとは、スタンダードプランからプレミアムプランへの移行などのように上位モデルへの転換のことを指します。

クロスセルは、現在契約しているサービスとは異なるサービスの追加購入です。

両方とも売上貢献度合いを可視化できることから、重要なKPIと言えます。

この2つは、顧客満足度がポイントです。

顧客満足度が低迷している状態では、上位モデルへの転換や追加サービスの購入は見込めないからです。

LTV(顧客生涯価値)

LTVとは、Life Time Value(顧客生涯価値)のことで、SaaSのようなサブスクリプションのサービスなどで特に重視されているKPIです。

経営戦略において、新規顧客開拓よりも、リピーターの方がコストパフォーマンスが良いと言われています。

LTVは、顧客1人から将来的な見込みも含めて得られる利益を算出します。

マイホームの購入など、一度きりの高額な商品ではさほど重要視されませんが、継続的な購入や課金が見込める商品・サービスでは、非常に重要なKPIです。

近年は、スマートフォンアプリなどの課金制が普及していることが要因で、LTVにおけるKPIの重要性は、より一層高まりつつあります。

アクティブユーザー数

アクティブユーザーとは、指定した期間内に1回以上利用した利用者をアクティブユーザーと呼びます。

対になるもので、一定期間サービスの利用が見られない利用者は、非アクティブユーザーと言われます。

スマートフォンのゲームアプリでは、アクティブユーザー数を重視しています。

なぜなら、アクティブユーザー数が減少すれば、ゲームに対する需要が薄れてきていると判断できるからです。

NPS(顧客推奨度)

NPSとは、Net Promoter Score(顧客推奨度)のことで、製品やサービスにおいて、どれくらい愛着や信用を置いているかを測る指数です。

NPSが高ければ高いほど、他者に勧める可能性があります。

そのため、NPSは他者への紹介を可視化するためのスコアとして活用されています。

「口コミで広まった」と言われているものは、NPSが高いからこそできることです。

自身が本当に良いと思ったものは、自然と他者に勧めたくなるものです。

NRR(売上継続率)

NRRとは、Net Revenue Retention(売上継続率)のことで、顧客ごとに前年比、前月比などと比較して、どれくらい売上を維持できているかを測る指標です。

新規顧客をあまり獲得できていなくても、NRRが良好であれば全体的な売上は低迷しません。

アップセル・クロスセル率とも関係があります。

既存顧客がより高いサービスを契約したり、別のサービスを購入した場合、NRRは向上します。

商品・サービスによっては、新規顧客開拓よりNRRが重視されます。

カスタマーサクセスのKPIを達成するためには?

カスタマーサクセスのKPIを達成するためには?

カスタマーサクセスのKPIを達成するには以下のことを意識しましょう。

顧客ニーズは常に把握する

顧客の要望をヒアリングし、本来のニーズを捉えて適切な商品やサービスを提供することがカスタマーサクセスの成功に繋がります。

しかし、顧客の意見を全て鵜呑みにしてはいけません。

利用頻度や少数派の意見なども合わせて検討して、顧客体験を最適化できるよう慎重に判断することが大切です。

部門間で連携して企業全体で取り組む

カスタマーサクセスに取り組むには、担当部門だけではなく他部門との連携が欠かせません。

LTVや解約率の改善に取り組む際も、部門間が連携して取り組む場面が多いはずです。

そのためにもKPI設定の際に部門間の壁を越えた共通認識が欠かせません。

定期的にKPIを確認する

カスタマーサクセスに限ったことではありませんが、KPIを達成するには、定期的に設定したKPIを確認、検討することが大切です。

適切なKPIというのは、利用者の状況や世間の波によって変動します。

最初に悩んで設定したKPIだからといって放置してしまうと、適切なKPIではなくなってしまう場合があります。

KPIからの分析により、利益を伸ばせているかなどと確認し、状況次第では変更することも念頭にいれましょう。

継続的な分析が必要になることから、多すぎるKPIの設定も避けたほうがいいでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

カスタマーサクセスにとって、解約率(チャーンレート)、オンボーディング完了率、アップセル・クロスセル等のKPIは重要な指標で、無視できないものです。

顧客を成功に導くために、きちんとKPIを設定し、、定期的なモニタリング、状況に応じた再設定をしながら運用していく

必要があります。

カスタマーサクセスは、他部門と連携して、顧客を成功に導く仕事です。

SaaSの普及に伴い、今後もますます注目される職種になりますので、この機会にぜひチェックしてみてください。

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