インサイドセールスとテレアポとの違いとは?役割やKPI、手法の違いを解説

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東海林 浩樹
前職リクルート時代、採用チーム責任者として約3000人の面接を経験。 様々な人生と向き合わせて頂く中で、「その一個人の人生において、よりよい機会を提供していけるか」が全ての一歩だと確信しました。転職するしないに関わらず、「ご自身が気づいていない強み」「生きるエネルギーの源泉」を発掘することを私の使命と捉え、皆様にとって、気軽にご相談できるパートナーでありたいと考えております。

SaaS転職

電話やメール、オンラインツールを使って営業活動を行うインサイドセールス。


近年、採用ニーズが増えている職種であり、注目している方もいるかと思いますが、テレアポ(テレフォンアポインター)との違いがわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。


そこで、こちらの記事では、インサイドセールスの仕事内容や求人動向、テレアポとの違いなどについて解説します。

  • 自己分析から内定獲得まで徹底的にサポート
  • 一次面接通過率約50%(選考企業ごとの面接対策実施)
  • 入社半年以内の離職率1%以下

インサイドセールスとは?求人が増えている理由

まずは、近年求人件数が増えている「インサイドセールス」について解説します。

インサイドセールスとは、見込み客の育成を行う「内勤営業」


インサイドセールスとは、電話やメール、オンラインで顧客と連絡を取り、商談や契約につなげる営業手法です。


名前の通り内勤営業なので外に出ることはなく、主にリード(見込み顧客)を育成し、購入意欲が高まったときにフィールドセールスに引き継ぎます。

Saas系企業の増加に合わせ、採用ニーズも拡大

富士キメラ「ソフトウェアビジネス新市場 2024年版」によると、国内のSaaS市場規模は右肩上がりとなっており、2020年と比較するとSaaS市場規模は186%増加。2028年度に向けても引き続き伸びて行くと予想されます。


インサイドセールスは、近年急速に伸びているSaaS系企業を中心に「営業プロセスの分業化」を行っている企業で多く取り入れられています。そのSaaS企業の増加に伴い、インサイドセールスを含む新しい営業職の求人は3年で2.62倍に増加(参照:リクルート)。


また、営業未経験でも接客経験やコミュニケーションスキルがあれば挑戦できる職種であることから、インサイドセールスの採用市場は活発になっています。

テレアポとは?アポイント獲得に特化した営業手法


テレアポはその名の通り、電話を使って商談などのアポイントを獲得する役割を指します。一般的には顧客リストをもとに架電し、商品やサービスを案内しながら、顧客の興味・関心を高めてアポイント獲得につなげます。


アポイント獲得数や架電数が目標が目標となり、アポイント獲得率を上げるために様々な施策を行います。


ファーストコンタクトで相手に好印象を与えるトーク術や、コミュニケーションを取りながらニーズを引き出していく力、要点を絞ってわかりやすく説明する力などが求められます。

インサイドセールスとテレアポはどう違う?

インサイドセールスとテレアポは、「電話などを使った非対面の顧客アプローチ」という点が同じであるため混同されることが多い職種です。しかし、実際には以下の点が違います。


インサイドセールスは、新規アポイント獲得以外にも見込み顧客のナーチャリングを行ったり、業務を行う上で顧客の要望を集めてそれをエンジニアに共有したりなどアポイント獲得以外の業務がある一方で、テレアポはアポイント獲得に集中して取り組むことができます。

役割とKPIの違いを徹底解説

インサイドセールスとテレアポはどちらも非対面での営業活動ですが、役割やKPIが異なります。


テレアポはリストをもとに電話でアポイントを獲得することがメイン業務であり、KPI(重要業績評価指標)は架電数やアポ獲得件数となります。


一方インサイドセールスも「商談アポ獲得」を担っていますが、、マーケティング部門が発掘・選定した見込み顧客にアプローチし、関係性を構築しながら購入意欲を高め商談を行うまで「育成」するのが主な役割です。


インサイドセールスはテレアポに比べて業務の幅が広いため、KPIには架電数やアポ獲得件数だけでなく、受注につながる見込みが非常に高い「有効商談獲得件数」や受注貢献数、受注貢献金額なども含まれます。

手法の違い

テレアポは、電話による顧客アプローチがメインです。決められた時間内に、できるだけ多く架電し、アポ獲得を目指します。


インサイドセールスは、電話だけでなくメールやDM、セミナーやイベント、SNSなど、さまざまな方法で顧客にアプローチするのが特徴です。


たとえば、電話で現状抱えている課題やニーズなどをヒアリングしたり、メールやDMで興味関心があると思われる情報を提供したり、セミナーやイベントを通して製品・サービスの導入事例の紹介やノウハウ提供を行ったりします。


このような多面的なアプローチにより、顧客と中長期的な関係構築を図り、購入意欲を高めていきます。

時間軸の違い

テレアポの時間軸は「短期」です。


1日当たり、1週間当たりで何件のアポイントを獲得できたのかをこまめに検証し、トークの内容や組み立てをブラッシュアップしたり、架電先リストを変えたりするのが一般的です。


一方のインサイドセールスは、「顧客の育成」が主な役割であるため、時間軸も「中長期」です。


テレアポのように架電も行いますが、課題やニーズの引き出しや情報提供などがメインであり、時間をかけて育成する必要があります。

フィールドセールス、カスタマーサクセスとの違いを解説

インサイドセールスが獲得した商談は、フィールドセールスに引き継ぎ、その後フィールドセールスは、商談から契約までを担当、契約後はカスタマーサクセスが担当します。


このように、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスは、それぞれ担当するプロセスが違うのです。それぞれ見ていきましょう。

インサイドセールスフィールドセールスカスタマーサクセス
対面 / 非対面非対面対面非対面
KPI・商談獲得数・有効商談獲得数・受注貢献率 ・契約数・LTV・解約率、継続率・ヘルススコア・アップセル・クロスセル率 など
必要なスキル・コミュニケーションスキル・ヒアリングスキル・ヒアリングスキル・関係構築スキル・クロージングスキル・データ分析スキル・コンサルティングスキル

フィールドセールス

フィールドセールスの役割は、顧客を直接訪問して商談する「訪問型対面営業」で、アウトサイドセールスと呼ばれることもあります。


一方のインサイドセールスは、電話などによる「非対面営業」がメインです。


前述のように、フィールドセールスとインサイドセールスは役割分担がされており、インサイドセールスが関係性を構築して育成した顧客に対し、フィールドセールスが実際に訪問して商談を行い、受注を獲得します。

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスは、すでに製品・サービス導入済みである「既存顧客」に対してフォローを行い、成功体験を得てもらい継続利用を促すのが主な役割です。


インサイドセールスとは既存顧客ではなく、見込み顧客へのアプローチである点が大きく異なります。


中長期的に既存顧客と関係性を築くという点は類似していますが、インサイドセールスは顧客を育成し購入意欲を高めるのが目的であるのに対し、カスタマーサクセスはタイミングを見ながら上位プランへのアップセルや、関連商品・サービスのクロスセル提案も行います。

インサイドセールスの転職市場動向

インサイドセールスの転職市場の動向について解説します。

インサイドセールスの求人の傾向

SaaS系企業を中心とするIT・ソフトウェア業界の拡大により、インサイドセールスの採用ニーズは増加傾向にあります。


SaaS系商材の特徴として、契約決定までに時間がかかることが挙げられます。


特に各社が力を入れているエンタープライズ営業(大手企業を対象とした営業)は、リード期間が数年単位に渡るケースもあります。


そのため、営業プロセスを分業化して、商談精度や商談決定率を高めようとする企業が多く、見込み顧客と中長期にわたってじっくり関係を築くインサイドセールスの重要性が増しているのです。

インサイドセールスの求人ニーズ見通し

今後も、サブスクリプションモデルの拡大により、SaaS系企業を中心にインサイドセールスの求人ニーズは旺盛な状態が続くと見られます。


SaaS系以外にも、人材不足の中で効率的な営業活動ができるという点に着目し、インサイドセールスの採用を強化しようとする動きもあります。

インサイドセールスを成功させるポイント

インサイドセールスの部署を立ち上げ、闇雲に商談獲得の電話を行っても意味がありません。


インサイドセールスを成功させるためには、組織体制を整えることや売上増加に効果的なKPI設定、より成果を出しやすくするためのツール活用が重要なポイントになります。


例えば、Sansan株式会社では、インサイドセールスの中でも新規を担当する部署、既存を担当する部署、そして企業の従業員規模×エリアで分けるような組織体制になっています。


このように分けている理由は、新規/既存、従業員規模によって難易度が変わってくるためです。Sansan株式会社は、この組織体制で運用することで、業界未経験で入社してきたメンバーであっても成果が出せるようになり、全体最適化が行われるようになりました。(参考:Sansanのインサイドセールス組織を解剖してみよう

効果的なKPI設定方法

インサイドセールスのKPI設定はとても重要です。商談数をKPIにおき、ただ商談数を増やすだけではフィールドセールスが大変になってしまうからです。


そのため、有効商談数(受注につながる見込みがある商談の数)や受注貢献率など、会社の売上に繋がるような目標をおくようにするといいでしょう。


他にも商談化率をKPIに設定することで、ただ電話をかけるのではなく、顧客別に提案や手法を変えながらアプローチするようになるため、顧客損失を防ぐことができます。

必要なツールと活用方法

インサイドセールスでは、CRM(顧客管理ツール)やMA(マーケティングツール)、コミュニケーションツールなど、様々なツールを利用します。

CRMツール例

・Salesforce Essentials
・ZOHO CRM
・Hubspot CRM

MAツール例

・Hubspot
・Adobe Marketo Engage
・BowNow
・Marketing Hub
・SATORI


ツールを選ぶ際は、目的に合っているかどうか、サポートの充実度はどれくらいか、初期料金や月額料金、ユーザー1名追加した場合の料金など、トータルで考えた場合の料金はいくらかなどを見れるといいでしょう。


特に外資系のサービスを使う場合、サポートはチャットのみ、英語のみということも多いので、電話対応の可否や日本語サポートの有無は契約前に質問しておくのがおすすめです。

インサイドセールスのよくある課題と解決策

インサイドセールスでよくある課題として、商談の質やリードの優先順位づけ、フィールドセールスとの連携が挙げられます。


リードの優先順位づけでは、初回の商談でヒアリングをしっかりと行い、有効商談に繋がりやすいと判断したリードには高い頻度で連絡を行ったり、問い合わせ時点で獲得できる情報から優先順位をつけることもあります。


その他にも、インサイドセールスが獲得した商談を担当するのはフィールドセールスになるため、どのような情報をヒアリングしておくべきか定期的にフィールドセールスと決めておいたり、どんな提案が刺さって商談獲得に繋がったかなどを共有できるといいでしょう。

商談の質を高めるためのポイント

商談の質を高めるためには、以下のポイントが大切です。


・ヒアリングの徹底
・提案力の強化
・クロージング力の向上


顧客との初期接点を持つインサイドセールスは、顧客が何を期待して問い合わせをしてきたのか、今抱えている課題はなんなのか、など、徹底したヒアリングが必要です。細かくヒアリングを行うことで、顧客に刺さる提案ができるようになります。


その上で、提案力を強化することで顧客が商品に興味を持ち、最後にクロージングをすることで、有効商談獲得に繋がります。


ヒアリングや提案が弱い場合は、顧客が商談に繋がらない、または商談に繋がっても有効商談に繋がらず、インサイドセールスの成果には繋がらなくなってしまうでしょう。

他部署との連携における注意点

インサイドセールスでは、フィールドセールスだけでなく、カスタマーサクセスやマーケティング、エンジニア部門と連携する機会があります。


例えば、インサイドセールスが獲得した商談はフィールドセールスが担当しますし、新規の問い合わせが少ない場合はマーケティング部門と連携してリードを増やす施策を行います。


その際、それぞれの部門ごとに追っている目標があり、そして優先順位ややり方があるので、自分の部門からの目線のみで話を進めてはうまくいきません。


それぞれの部署の立場を理解した上で、連携を行うようにしましょう。

インサイドセールスに転職するには?必要なスキルと転職事例

インサイドセールスの採用ニーズ自体は旺盛であり、未経験者であっても転職できる可能性は高いでしょう。


そんなインサイドセールスに求められるスキルは以下の3つです。

・コミュニケーションスキル
・データ分析スキル
・ツール活用スキル


インサイドセールスは、非対面での営業となるため、コミュニケーションスキルがとても重要です。また、顧客をセグメント分けしてそれぞれのセグメントに合わせた提案を行うため、データ分析スキルやツール活用スキルが必要です。


これらのスキルを高いレベルで備えている人ならば、たとえ営業経験がなくてもインサイドセールスに転職できる可能性はあります。


インサイドセールスに向いてる人の特徴をまとめていますので、併せてこちらも記事もご覧ください。

インサイドセールスに向いてる人・向いてない人の特徴とは?仕事内容と合わせて解説


次に、営業経験者、営業未経験者のインサイドセールス転職事例を、それぞれご紹介いたします。

事例1:広告会社の営業職から、SaaS企業のインサイドセールスに転職

広告会社で、主に飲食店を担当していたAさん(20代後半)。業界特化型ではなく、さまざまな業界の企業を担当して営業スキルを高めたいとの思いから、SaaS業界のインサイドセールスに注目しました。


毎月の目標を達成するために、プロセス管理や逆算思考による行動計画を徹底していたこと、新規開拓営業も手掛け顧客と一から関係性を築くのが得意だったことなどが評価され、急成長中のSaaS企業への転職が決定しました。


現在は、さまざまな業界を顧客に持ち、前職での経験を活かしながら関係性構築に注力されています。

事例2:アパレル会社の販売職から、求人情報会社のインサイドセールスに転職

全国に店舗展開するアパレル会社で販売職に就いていたBさん(20代前半)。個人客相手に接客力を磨き、どんな接客やトークが効果的なのか自身で振り返り、売り上げ数字をもとに検証を繰り返したことで、個人販売成績で全国トップになるまでに成長しました。


しかし、頑張っても成果が給与に反映されず、徐々にモチベーションがダウン。


成果を正当に評価してくれる企業で、より競争意識の高い仲間と切磋琢磨しながら成長したいとの思いから、インサイドセールスを志望されました。


営業職は未経験ながら、接客業での高い成果と地道な努力、数字の振り返りや検証を繰り返してきたことなどを高く評価され、求人情報会社のインサイドセールスに転職。未経験ながら早期に成果を挙げ、やりがいを持って働かれています。

インサイドセールスに興味を持ったら、転職エージェントを活用しよう

インサイドセールスは近年増えてきた職種であり、求人数は2019年ごろから増え始め、3年間で12倍となっています。

参照:プレスリリース


今注目されているインサイドセールスに転職を希望されている方は、ぜひ転職エージェントを活用してください。


転職エージェントでは応募先の紹介だけでなく、応募書類の作成サポートや面接アドバイスなども行っているので、アピール方法がわからない方も安心して転職活動に臨めると思います。


転職エージェントの中でも、弊社キャリア・エックスは、インサイドセールスの採用に積極的なSaaS業界に強みを持っているので、一人ひとりの志向や要望に合ったご紹介も可能です。


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キャリアエックス編集部

過去2回の転職を行い、大企業・ベンチャー企業を経験。ベンチャー企業では、人材紹介事業の立ち上げを行い、WEBマーケティング兼人事として採用面接を実施。これまで執筆した転職関連記事は100本以上。
転職希望者・採用担当者それぞれの経験をもとに、「ためになる」リアルな情報を発信したいと考えています。

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