SaaS型のビジネスモデルについて徹底解説

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PCにCD-ROMをセットしたり、アプリケーションをダウンロードしたり…。以前はそのような形でソフトウェアを使用することが“当たり前”でしたが、それを大きく変えたのがSaaSです。


SaaSとは、Software as a Serviceの略称で、PCやスマホといったデバイスにインストールしなくても、インターネットを経由して“いつでも、どこでも”ソフトウェアを利用できるサービス形態のこと。


リモートワークが一般化したことなど、様々な要因から急速に普及が進んでおり、GmailやZOOM、Slackといったサービスは、利用したことのある方も多いでしょう。


このように、現在注目の集まるSaaSはどのようなビジネスモデルで運営され、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。本記事では、それらを詳細に解説します。

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SaaSのビジネスモデル

SaaSは、毎月定額の料金を支払うことで、必要なソフトウェアを必要な期間だけ利用できるサービスです。


前述したように、インターネット環境があれば場所を問わずアクセスできるため、データの一元管理やリアルタイム共有ができ、導入ハードルも高くありません。利便性の高さによって、多くのユーザーから支持を集めてきました。


また、“毎月定額の料金”と聞くとサブスクリプションサービスをイメージされる方もいるでしょうが、サブスクリプションは課金の形態、SaaSはサービス提供の形態を指すため、SaaS=サブスクリプションではありません。


あくまでも、SaaSの提供企業がサブスクリプション型の課金形態を採用していることが多いだけというのが正確な回答になります。

SaaSビジネスモデルのメリット

SaaSのビジネスモデルがマーケットに浸透している要因は、ユーザー側はもちろん、サービスを提供する企業側(ベンダー)にも複数の大きなメリットがあるからです。


利便性や収益性など、それぞれどんなプラス要素があるのか、この項目で紹介していきます。

初期費用が少ない

たとえば、企業が社内システムをイチから構築しようと考えれば、多額のコストが発生します。


しかし、SaaS企業の多くは、サブスクリプション型の課金形態を採用しているため、ユーザーに大規模な初期費用がかかることはなく、低いハードルでサービスを導入することができます。

スケーラビリティが高い

旧来のパッケージ製品を購入するスタイルであれば、各PCなどにそれぞれソフトをインストールしなければならず、機能追加の際には同様の手順を繰り返さなければいけませんでした。


それがSaaSであれば、利用者・機能の追加をスピーディに簡単に手続きすることが可能に。スケーラビリティの高さは、SaaSの大きなメリットの一つだと言えます。

定期収入を確保できる

これまでITサービスの提供会社は、一つのシステムの導入やパッケージを販売することが売上になっていましたが、1ヵ月後、1年後の売上といった将来的な保証はありませんでした。


しかし、SaaSビジネスモデルは、サブスクリプション型の課金形態が採用されているため、毎月・毎年、安定的に売上を見込めるように。


定期的に、継続的に収入を確保できることは、サービスを提供する企業にとっては大きなメリットとなり、参入企業を増やす要因になっていると考えられます。

SaaSビジネスモデルのデメリット

ここまでSaaSのプラス要素、メリットを中心に解説してきましたが、デメリットが存在しないわけではありません。


ユーザーごとにシステムをゼロからつくるわけではないため、カスタマイズの難しさが発生してくるうえ、サービス提供会社も安定収入が見込まれる一方、一度にインパクトのある売上を残せない状況に陥ることも。


この項目では、そんなデメリットをいくつかピックアップします。

カスタマイズの制限がある

たとえば、ZOOMやSlackを思い浮かべてもらうと分かりやすいように、それらはユーザーごとに細かなカスタマイズに対応しているわけではありません。


共通のプラットフォームを使うからこそ、サービスの提供会社も低コストで収益を得ることができ、ユーザー一人ひとりに合わせたベストな仕様は実現しづらいのが現実です。

データセキュリティの懸念がある

SaaSは常にインターネットに接続され続け、複数人が利用する状態になっているため、万が一プロバイダー側などのセキュリティに問題が発生した場合には、大規模な情報漏えいが起こるリスクを避けられません。


定期的にニュースで顧客データが流出したという話題が出てきますが、自分が当事者になってしまう可能性も十分に考えられるのです。

継続的にコストがかかる

SaaSに限らず、サブスクリプション型の課金形態が採用されている場合、月に1、2回程度しか使わなくても、毎日使っても費用は変わりません。


サービスの利用権利を確保しておくだけでも最低限の基本料金は必要となってくるため、使用頻度が低くなるほどユーザーにとってはコストパフォーマンスが悪いサービスになってしまいます。

SaaSビジネスモデルの重要指標・KPI


SaaSは、これまでにない新しいサービスの提供形態であり、そのため利益をあげていくためには、独自性の高い指標が用いられます。それらは、いったいどんなものなのか。具体例をいくつか紹介します。

MRR(Monthly Recurring Revenue)

MRRとは、1ヵ月の経常収益を示す指標です。


サブスクリプション型の課金形態を採用しているSaaSビジネスでは、毎月どれだけの利益を得られているかが事業の生命線であり、かつ成長性も把握できなければいけません。


それらを確認するためにMRRは非常に重要な指標であり、適切に状況を理解するため、導入初期費用やコンサルティング費用といった一時的なものは含めないことが一般的になっています。

CAC(Customer Acquisition Cost)

CACとは、一社または一人ユーザーを獲得するのにかかるコストのことです。


深く関連する指標として一ユーザーあたりの契約期間内の平均収益を示すLTVという指標がありますが、CACがLTVを下回らなければ黒字にはなりません。


一般的には、CACがLTVの三分の一程度に収まっていれば、事業として健全だと言われています。

Churn Rate

Churn Rateとは、解約率という意味です。


SaaSビジネスモデルでは、ユーザーが契約を継続するほど収益が積み重なっていくため、Churn Rateをいかに下げるかが重要なミッションになってきます。


そのために多くのSaaS企業は、サービスのバージョンアップ・機能追加やカスタマーサクセスの体制強化などに力を入れているのです。

SaaSビジネスモデルの成功事例


SaaSは年々世の中への普及が進み、マーケット規模を拡大。多くの世界的な企業も誕生させてきました。


では、具体的にどのような成功事例が存在するのでしょうか。すでにサービス名を出してきたZOOMとSlackに加え、Sales forceを例に挙げ、解説を行っていきます。

Sales force 

Salesforceは、営業支援(SFA)や顧客管理(CRM)を中心として複数のサービスを組み合わせて使用できるSaaSの総称で、国内では株式会社セールスフォース・ジャパンが提供しています。


たとえば、営業活動だけであれば、Sales Cloudのみで対応でき、マーケティングにも活用したいとなればSalesforce Marketing Cloudを組み合わせるなど、複数のサービスを用意することで柔軟にユーザーニーズに応えられる体制を実現。


この分野では、世界トップクラスのシェアを誇り、日本でも多くの企業に導入されています。

Slack

Slackは、ビジネス用チャットツールとして、トップクラスのシェアを築いているサービスです。


グループチャットや1対1のメッセージのやり取りなどに利用され、メール以上に簡単にファイル共有も可能。


様々な企業で、部署内外のコミュニケーションに活用されており、特にコロナ禍以降に増えたリモートワーク環境下において、欠かせないインフラの一つとなるほど、存在感を高めています。

ZOOM 

Web会議サービス・ZOOMがスタートしたのは2011年で、競合のサービスと比較して登場が早かったわけではありません。


しかし、先行していたSkypeがどちらかと言えば1対1の会話を重視していたのに対し、複数名での会議への対応を重視して品質を高めることで支持を拡大。


特にコロナ禍の影響が出始めたころから急速にユーザー数を伸ばし、2019 年 12 月の1日のユーザー数のピークが1000万人程度だったのに対し、2020 年 4 月にはそれが平均 3 億人に到達するなど、非常にスピーディな成長を遂げました。

SaaSビジネスモデルで成功するポイント

SaaSビジネスモデルで成功を収めるためには、メリット・デメリットに目を配りながら、MRRなどの指標を柱に、事業を展開していく必要があります。


様々な要素を複合的に捉え検討していくことが求められますが、主なポイントとしては以下のようなものが挙げられるでしょう。

顧客のニーズに合った価値提供

すでにマーケットには多彩なSaaSサービスが存在し、アップデート、機能追加も進められています。


その中で、ユーザーの支持を獲得するには、的確に顧客の課題を見つけ出し、それを解決するサービス・機能を生み出すことが求められるでしょう。


サービス提供企業のひとりよがりに陥らず、常にユーザーファーストの視点を持つことが必要不可欠です。

優れたカスタマーサポートとリテンション施策

SaaSビジネスモデルを継続的に成功させていくためには、Churn Rateを下げるのが重要なことだというのは前述した通りです。


それにはカスタマーサクセス部門が非常に大切な役割を担い、顧客満足度を高めるべく日々の対応品質を向上させていくと同時に、様々なリテンション施策を企画・実行していくことが必要となります。

データに基づく改善とアップデート

社会の変化に応じて、ユーザーやマーケットのニーズも刻々と変化していきます。


特に近年はその流れがスピーディであり、継続的に顧客の利用データなどを収集・分析し、即座に改善やアップデートにつなげていくことが重要になるでしょう。


それができなければ、すぐに競合のサービスに後れをとり、ユーザー離れを招いてしまいます。

SaaS事業を始めるための準備事項

この記事を読んでいる方の中には、すでにSaaS事業の立ち上げを検討していたり、「チャレンジしてみたい」と考えていたりする方もいるかもしれません。


そこで、この項目ではどんなことを意識して準備を進めていけば良いのかをポイントごとに説明します。

市場調査と顧客ニーズの把握 

まだ解決策の見つかっていない潜在的・顕在的な顧客課題を発掘し、それを解決するサービスを生み出すことが、一番シンプルなSaaSビジネスの成功方法でしょう。


そのためには、競合調査を含めたマーケティングは非常に重要な工程であり、論理的な“勝ち筋”を見つけたうえで事業をスタートさせるべきだと言えます。

サービス設計とMVPの開発 

市場調査を行った後の次のステップが、サービス設計とMVPの開発です。


まずは必要最小限の機能からスタートし、ユーザーの反応を見ながら改善・アップデートを進めていくことで、無駄なコストを抑え、世の中に必要とされるSaaSをカタチにすることができます。

価格設定とビジネスモデルの検討

サービス提供者にとって利益があり、ユーザーにも受け入れられやすい価格設計も、ビジネスの準備をするうえで重要なステップです。


SaaSはサブスクリプション型がほとんどではありますが、追加費用の掛からない一括購入やフリーミアム(無料と割増料金の併用)といった料金形態も合わせて検討するべきでしょう。

SaaS企業に転職しビジネスを体験するという手段もある

SaaSのビジネスモデルを学ぶためには、既存のSaaS企業へ転職することも有効な手段の一つです。


国内には、メガベンチャーと呼ばれるような大手企業から立ち上げ段階のスタートアップまで、様々な会社が存在し、それぞれに吸収できる知見・ノウハウがあります。


「将来的にSaaSビジネスを立ち上げるために、まずは今の会社から転職しよう」と検討している方は、ぜひ一度キャリア・エックスにご相談ください。


当社はSaaS業界全体にネットワークを持つ転職エージェントであり、あなたに合ったSaaS企業に出会えるよう総合的にサポートを行います。

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他業種であっても、SaaSのビジネスモデルを学ぶことに意味はある

本記事では、SaaSのビジネスモデルについて全般的に解説を行ってきました。


一見すると、他業種で働いている方には、関係ないことのように感じられるかもしれません。しかし、SaaS業界のSales forceが始めたザ・モデル方式(マーケティングから営業、カスタマーサクセスまでを細分化した営業プロセスモデル)が、様々な会社で採用されるようになるなど、業界を問わずSaaS分野に目を向けることには、きっと意味があるはずです。


この記事を読んで、少しでも多くの人が「SaaS業界っておもしろそう、もっと知ってみたい」と思ってくださることを願っています。

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キャリアエックス編集部

過去2回の転職を行い、大企業・ベンチャー企業を経験。ベンチャー企業では、人材紹介事業の立ち上げを行い、WEBマーケティング兼人事として採用面接を実施。これまで執筆した転職関連記事は100本以上。
転職希望者・採用担当者それぞれの経験をもとに、「ためになる」リアルな情報を発信したいと考えています。

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