現状への不満を払拭し、ありたい未来に近づくための転職先の選び方

コラム

おすすめの企業選びの基準

転職相談を受けていると「現状への不満や変えたいものがあるから転職したい。でも、どんな企業に応募するのがいいのか、何を基準に企業を選べばいいのかがわからない」という方に多く出会います。現状への不満を払拭し、なりたい姿を実現するには、どのように企業を選ぶとよいのでしょうか? おすすめの企業を選びの基準を紹介します。

2つの基準から企業を選ぼう

現状への不満を払拭し、なりたい姿を実現するには、次の2つの基準で企業選びをすることをおすすめします。

1.転職理由を払拭できる企業である

「働き方がハードすぎる」「営業から別の仕事に移りたいけどチャンスがない」など、現状に対して嫌なことや納得できないことがあって転職を検討されていると思います。「なぜ転職したいのか」を明確にし、その理由を払拭できる企業を選びましょう。

2.なりたい姿やめざしたいキャリアに近づける企業である

人生を「過去」「現在」「未来」に分けると、「過去」は現職まで歩んできた道や磨いてきたスキル、「未来」は今後なりたい姿、そして、「現在」は過去と未来をつなぐ転職にあたります。過去をふまえて自身の行きたい方向性を決めるには、未来のなりたい姿を定めることは必須。「将来、どうありたいか」を整理し、そこに近づける企業を選びましょう。

「過去」と「未来」がわかっていないと起こる問題

自分の過去と未来がどちらもわかっていないと、例えば、次のような事態に陥ります。

1.「過去に目を向けず、未来(なりたい姿)だけ描いている」場合

  • スキルが伴っていないまま憧れだけで企業を受けて、受からなかった
  • 「ハードワークがきつい」という転職理由に目をつぶって憧れのメガベンチャーを受け、入社したが、結局ハードワークが合わなくて退職した
  • 未経験で憧れのポジションにチャレンジしたが、業務と勉強のバランスが取れず、成果もあげられないまま退職

2.「過去はわかっているが、未来は描けていない」場合

  • 「働き方がハードなのは嫌」「営業以外の仕事をしたい」など、現職の嫌な部分から離れられる企業を重視して選んだ結果、事務系の仕事に就くことを選択。時間がたつにつれてマーケティングの職を目指したいと思うようになるが、年齢も重ねキャリアチェンジが難しくなった
  • 裁量権・スピード感はあるが創業年数が浅い企業で今後の成長がまだ見通せないため、もっと大手で安定して働きたいと思い大手に転職。結果、安定感はあるものの裁量がほとんどなく、レールに沿ったキャリアパスしか選べなくなってしまった

このような事態を避けるためにも、「なぜ転職するのか」「これまで身につけてきたスキルは何か」「今後(将来)どうありたいか」を明確にする必要があり、そうすることで進むべき企業・ポジションを見つけることができます。

自分の「未来」を明確にするには

2つの基準のうち、「なぜ転職するのか、何が嫌なのか、納得していないのか」は、比較的容易に洗い出すことができると思います。一方、「なりたい姿」については、描けていない人が多いと転職相談を受けていて感じるところです。

「なりたい姿」を明らかにするには、次の2つの視点が重要です。

1つめは、「なりたい姿」は、プライベートも含めたもので構わないということです。「めちゃくちゃお金を稼ぎたい」「家族とともにゆったりとした生活を送りたい」「周りに『あなたがいてよかった』と言ってくれる人がたくさんいる自分でありたい」など、ざっくりとしたもので構いません。「これからの自分はこうありたい」というイメージを描いてみましょう。

そして、次の段階として「そのイメージを仕事での立場や仕事内容に落とし込むとどうなる?」というところを考えていく必要があります。例えば、「お金を稼ぎたい」なら「いつまでに?」「いくらくらい?」「どんな働き方をしている?(ワークライフバランスや、立場、他者からの見られ方など)」、「ゆったりとした生活を送りたい」なら「ゆったりとはどんな状態?」「そのためにお金はどれだけ稼げるようにならなきゃいけない?」など。そうしてなりたい姿をより具体的にしながら「それは、どの企業・どのポジション・どれくらいの時間軸で叶えられるのか」と考えきるのは自分1人では難しい部分なので、転職エージェントのキャリアコンサルタントに相談しながら考えることをおすすめします。

2つめは、就きたい職種・ポジションがはっきりしていない場合、「なりたい姿」を持ちつつキャリアの方向性はざっくりとしたままさまざまな道を模索し、選考を受けていく中で絞っていっていいということです。

例えば「なんとなく人事をやりたいから、人事に近づけるキャリアだけ選んで応募する」と言っていた方が、面接を受けていく中で「営業の仕事から離れられれば人事に限らず他の職種でもよかったんだ」とか「人事の仕事をすることが第一というよりは、チームで協働して成果を挙げることが好き」「世の中に貢献している実感を得たいんだった」「どんどんポジションを上げてチームを主導していきたい」など、「なりたい姿」が変わっていく、あるいは、本当になりたい姿に気づくというのは、よくあることです。

就きたい職種・ポジションが明確な場合はその職種・ポジションを目指すべきですが、そうでない場合は、いろんな可能性を探ってみてまったく問題ありません。

「未来」を明確にする際や企業選びをする際は、転職エージェントを活用しよう

先述したように、なりたい姿を仕事での立場や仕事内容に落とし込むところは、なかなか自分1人での判断は難しいものです。

例えば、「これまで営業職として経験を積んできたけれど、マーケティング職にキャリアチェンジしたい。これまでの経験のどの部分が生かせるのか?」と考えたとき、自分1人ではなかなか判断しづらいでしょう。

実際、「即戦力じゃないから無理かも」と自己判断しがちな場合でも、企業ごとに「クロージング能力に長けている人なら採用したい」「新しい顧客を見つける力があるならマーケティング職としての採用も可能」「リサーチをとりまとめて顧客ターゲットの要件定義をしたことがあるならOK」など、採用基準が異なる場合が往々にしてあります。また、逆もしかりで「自分は営業職として自社メディアを使った集客提案のためのリサーチと提案をしていたから、マーケティング職もいけるでしょ」と思っていても、企業からすると採用基準を満たなさない場合もあります。

このような「どういうスキルが採用基準を満たすのか/許容範囲か」といった相場感や、「『なりたい姿』はどうすれば実現可能なのか」といったことは、企業の採用担当者とコミュニケーションをとっているキャリアコンサルタントだからこそ得られる情報や経験から助言できるものがあります。そうすれば、下手に数を打って選考を受ける必要もなくなります。転職理由となりたい姿がある程度整理できたら、ぜひキャリアコンサルタントに相談いただければと思います。

嶋村 早紀

大学卒業後、新卒でリクルート(現リクルートライフスタイル)にて入社。飲食領域における広告企画営業職として、新規飛び込み営業から、法人へのコンサルティング業務に従事し、全国準MVP賞等、社内表彰多数受賞。現在、株式会社キャリアエックスにて、若年層向けのキャリアコンサルティング及び営業を行う。

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