「転職しない転職活動」のススメ

コラム

転職しない活動

「このまま今の会社にいていいんだろうか?」「転職も考えるけど、これまでの経験がどう生きるのかわからない」など、転職が頭をよぎるものの一歩踏み出すことに迷いがある方は多くいらっしゃると思います。そんな方におすすめしたいのが「転職しない転職活動」です。どういうことか、ご説明します。

転職活動した結果、転職しなくてもいい

初めて転職を考える方の中には、「転職できるだけのスキルがついているのかわからない」といった方も多いと思います。実際、僕が転職相談に応じている方々からも、同様の相談を受けることがたびたびあります。

そこで僕がいつも話しているのが、「転職活動をした結果、転職しないという選択をしてもいいんですよ」ということです。転職活動をした結果、内定が出て「この会社に行きたい」と思えば転職すればいいですし、今の会社でまだまだできることがあると気づき、今の会社で頑張ろうと思うなら、それはそれで意義のある活動だったということです。

転職活動は、自分の相対的な評価を知る機会になる

なぜこのように考えるかというと、転職活動は、自分の市場価値や市場での相対的な評価を知り、その評価を現職で上げていけるのか、別の企業で上げていかないと厳しいのかをはかる機会になるからです。

偏差値などの指標があった高校受験や大学受験と異なり、ビジネスの世界においては、「これができるから市場価値が高い」といった評価は定性的で見えにくいものです。また、自社内で評価されていても、もしかすると社外では評価されないかもしれないし、その逆もあり得ます。
となったときに、自身の市場価値や何ができるのか・できないのかなどを相対的に評価してもらうのに、転職活動はうってつけの場となるのです。

したがって、今後のキャリアを考えたり、自身の相対的な評価や伸ばすべき・身につけるべきスキルなどを見極めたりしたい、という人は、ぜひ転職活動をしてみてほしいと思います。腰を重くして「活動しようか?どうしようか?」と悩むくらいなら、活動して見るほうが断然得られるものが多いでしょう。

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現職残留か、転職か—2つの事例

事例1:転職活動した結果、現職に残留したAさん
Aさんは、今の仕事に少し不満があり「外に出れば成長できるのでは?」と転職活動を始められました。結果、内定を得たものの、面接やそのフィードバックを通して「現職でもっとこういうことをやりきれたんじゃないか」「現職でまだまだスキルをつけられるんじゃないか」といったことに気づき、「あと1〜2年今の仕事を本気で頑張って、やりきったと思ってからまた転職活動をしよう」と現職への残留を決意されました。

「自分には現職で本気で頑張るという視点が欠けていた。チャレンジしているようでチャレンジできていなかった」とおっしゃっていたのが印象的です。
事例2:迷いつつ転職活動を始めたが、頑張りたい会社に出会ったBさん
Bさんは、「現職のままでも別にいいかな」と迷いながら転職活動を始められました。しかし、選考を受ける過程でやってみたいビジネスや今後のキャリアイメージを具体的に持つようになり、「今の会社よりはほかの会社で頑張って見たい」と転職することを決められました。

ほかにも、転職意向はさほど高くなかったけれど、選考を受けていく中で社員や事業、経営者の考え方に共感を覚え、入社に至った方もいらっしゃいます。

こういった出会いや気づきは、転職活動をしたからこそのものだと思います。転職活動は就活と異なり、4月1日に必ず入社しなければならないものでもありません。キャリアの棚卸しができるし、人材市場での相対評価も得られるし、さまざまな出会いもあるので、少しでも選択肢に考えられるなら、やってみることをおすすめします。
鈴木 圭一

日本テレビにてチーフスタイリストとしてバラエティ番組などを担当。その後、株式会社リクルート(現リクルートライフスタイル社)に入社し広告企画営業としてMVP等多数受賞、他メンバー育成/チームマネジメント業務に従事。
その後、人材系ベンチャー企業にて、営業及びキャリアアドバイザーを2年経験、約1000人の転職支援業務に従事し、株式会社キャリア・エックスへ。現在は、次世代リーダー/マネジメント層向けの人材紹介事業の業務企画、キャリアコンサルティング及び営業を行う。

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