転職活動でも、徹底的に自己分析を!

コラム

なぜ自己分析が必要??

転職相談を受けていると、多くの方が「今のスキルで転職できる?」「そもそも転職活動って何をすればいいもの?」といった不安を抱えて転職活動に臨まれていると感じます。そういった方々と面談を進めていていつも行き着くのは、自分のことを徹底的に知る、自己分析の重要性です。なぜ自己分析が必要なのか、どんな観点から自分を振り返るとよいのかを紹介します。

頭の中だけで考えるだけでなく、言葉に書き出すことが大事

転職活動を始めるにあたり、働く上で大事にしたいことや転職に求めることについて、頭の中でなんとなく考えていらっしゃる方は多いですが、言語化してノートに書き出したり、Excelにまとめたりまではされていない方はそう多くありません。でも、転職活動を進めていくには、明確な言葉にして書き出すことが必要です。

その理由は2つあって、1つは、「転職で何を実現したいのか」「今の自分のスキル・強みは何か」「働く上で重視したいことは何か」などが言語化できていないと、受ける会社の選定を間違え、面接を通して企業から得たい情報も整理できないまま面接を受ける、内定が出ても決めかねる、入社後ミスマッチが起こるといったことに陥るからです。

もう1つは、面接に答えられないからです。面接では、自分が発した言葉をどんどん深掘りされます。「成長したいから転職活動しています」と話せば「何をもって『成長している』と考えますか?現職でも成長できるんじゃないですか?」などと、「より裁量のある仕事をしたい」と話せば「あなたの言う裁量とは何ですか?」などと、「風通しの良い社風にひかれて」と話せば「何を持って『風通しの良い』ととらえていますか?」などと詳しく掘り下げられます。言語化できていれば、このような問いかけにも説得力を持って切り返すことができます。

自己分析の2つのポイント

では、具体的にどのような観点で自己分析をしていくとよいか、ポイントは2つあります。

1.現職のポジティブポイントとネガティブポイントを言語化する

まずは、この2点を言葉にして挙げていくことから始めましょう。ポジティブポイントとは、「今の会社に残りたいポイント」「残ったらどんなキャリアが形成されそうか」など。ネガティブポイントは 「なぜ現職ではダメなのか」「現職にどんな不満があるのか」などです。これらを言語化することで今の会社に残る方がいいのか、転職した方がいいのか、そもそもなぜ転職したいと思っているのか、といったことが大まかに整理できます。

そして次に、主にネガティブポイントを 裏返し「仮に転職するなら何を一番叶えたいか」ということを整理します。一番叶えたいこと、 転職の一番の目的が明確になれば、受ける会社を検討する際に「現状が70点とすると、この会社を受ければ85点くらいにできる可能性があるだろう」という感じで受ける会社・受けない会社を大まかに判断できるようになります。

2.現職だけでなく過去にまでさかのぼって自分を知る

これは、自分自身の価値観や性格など整理するときに必要な視点です。価値観や性格に影響を与えた物事 や原体験は、仕事を始める以前の学生時代にあることが往々にしてあります。

例えば、「ゆくゆくはマネジメントをやりたい」という方に理由を尋ねると「マネジメントができた方が、市場価値が高まるから」という答えが出てくることがあります。ただ、より詳しく話を聞いていくと、もっと根源的な、例えば「人を育てて組織の成果を最大化することにやりがいを感じる」などといった価値観がその人にあり、その価値観に至ったのは大学時代にサークルを立ち上げた経験からだった、ということがあります。

このように、学生時代の原経験に基づいた強い価値観を持ち、それを社会人になっても成し遂げたいというストーリーになれば、「市場価値が高まるから」といった誰でも言える理由よりも、明らかに一貫性も説得力もあります。

このように、仕事をする上で大事にしている価値観や考え方がどんな経験によって形成されているのか、何から影響を受けて生まれたものなのかなどを、学生時代までさかのぼって振り返ってみましょう。そうすることで、大事にしている価値観の解像度が上がっていったり、新たなキャリアの方向性に気づいたりすることがあります。

私が面談を行うときも、「成長したい」とおっしゃる方には、「そう思うようになったきっかけは何か」「どんな人・事柄に影響されたのか」「どんな時に成長したと感じたのか」などを掘り下げるために、学生時代までのご経験を振り返っていただきます。

また、「尊敬できる人と働きたい」とおっしゃる方には、「今まで会った尊敬できる人ってどんな人ですか?」「中学校、高校時代までさかのぼって尊敬できる人がいたならば、その人たちとの共通項はありますか?」などと掘り下げていきます。

このように、自己分析は、転職活動をする上では、企業研究以上に大事なことです。自分を客観視できないと企業選びの軸も定まりませんし、自分に合う求人が見つけられません。また、無事内定が出て入社された後、多かれ少なかれ想定しているものとのギャップは起こります。その際に、しっかりと自分の拠り所となる強い軸があれば、安易に環境のせいにせず、その新しい職場で踏ん張り、成果をあげる可能性は高まるでしょう。

ぜひ時間を割いて徹底的に自分を知ってください。幼少期から学生時代までの経験とそこで培われた価値観、今に活きている大事な価値観や想いの言語化にチャレンジしてみてください。「転職の目的」「今回の転職で叶えたいこと」を明確にできれば、転職エージェントのキャリアコンサルタントからも自分にあった企業の紹介ももらいやすくなりますし、自身での企業探しや選考もスムーズになると思います。

鈴木 圭一

日本テレビにてチーフスタイリストとしてバラエティ番組などを担当。その後、株式会社リクルート(現リクルートライフスタイル社)に入社し広告企画営業としてMVP等多数受賞、他メンバー育成/チームマネジメント業務に従事。
その後、人材系ベンチャー企業にて、営業及びキャリアアドバイザーを2年経験、約1000人の転職支援業務に従事し、株式会社キャリア・エックスへ。現在は、次世代リーダー/マネジメント層向けの人材紹介事業の業務企画、キャリアコンサルティング及び営業を行う。

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