本当にできている?「キャリアの棚卸し」の重要性(若手社会人向け)

コラム

キャリアの十分な棚卸し

転職活動を進める上でキャリアの棚卸しの重要性はいたるところで言われており、インターネット上にもさまざまな記事があります。でも、求職者の方と面談をしていると、十分に棚卸しできている人は多くありません。なぜキャリアの棚卸しが必要なのか、そしてどうすれば十分な棚卸しになるのか、その方法をご紹介します。

面接準備やキャリアビジョンの検討に棚卸しは必須

キャリアを棚卸しする目的は2つあります。

1つ目は、自分の強み・弱みを明らかにするため。「何ができて何ができないか」ということは、面接で必ず聞かれます。でも、転職相談を受けていると、強み・弱みが抽象的であいまいな方が多いと感じます。強みも弱みもキャリアの棚卸しをしないと自覚できないので、携わってきた業務を振り返り、言語化していく必要があります。

2つ目は、「3〜5年後の自分はどうありたいか」という中長期の目標や展望を描くため。キャリアを棚卸しする際には、これまで経験した業務にどんな思い・姿勢で取り組んでいたのかも明らかにしていきます。そこから、今後のキャリアの希望や目標が見えてきます。

キャリアの棚卸しの2つのステップ

では、どうすれば強み・弱みや今後のキャリアの希望が見えてくるような棚卸しができるかというと、次の2つの手順で進めていくことをおすすめします。

1.これまで携わってきた業務を書き出す

まずは携わった業務の大枠を書き出し、それらにタイトルをつけましょう。そして次に、それぞれのタイトルについて、取り組んだことを具体的に書き出します。

その際、重視したいのが、できるだけ数字を交えることと、その業務への取り組み姿勢も書き出すことです。前者は、例えば営業なら1日にアプローチした企業数、事務系職種ならメールの処理件数や電話の応対件数など、細かい数字を洗い出しましょう。

後者は、例えば「資料作成の指示を受けた際に目標時間を設定して行う、(複数の方法を試して速くできる方法を採用するなど、スピード感を持って効率的に進めることにこだわった」など、具体的に思い出しましょう。

「自分はたいした仕事はやっていない」「当たり前のことしかやってこなかったから、華々しい経歴なんてない」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、企業の面接官が知りたいのは、そういった華々しさではなく、日々の業務をどう受け止め、どのようにしてベストを尽くしてきたのかという姿勢や、そこで発揮された能力が自社で再現できるそうか、また、それらの姿勢・能力を伸ばしてより難度の高い仕事に挑戦できそうかということです。

また、あわせて「なぜその取り組みや手法にしたのか?」という観点からも振り返ることで、仕事への姿勢や、発揮できる能力が見えてきます。たとえ1から10まで型化されたことをすれば成果が出るという業務をやっていたとしても、その中で市場分析や競合分析など、自らの視点や判断で取り組むことってあると思います。「なぜやったのか」「やった結果何を導き出したのか」「どういう理由でやるべきことの優先順位をつけたのか」などを明らかにしていきましょう。

2.1を「やりがいを感じたこと」と「正直向いていないと思ったこと」に分ける

次に、1で書き出したことを「やりがいを感じたこと(または、得意だと思えたこと)」と「やったけれど正直向いていない(または、つまらない)と思ったこと」に分けます。

「やりがいを感じたこと」は、仕事へのモチベーションの源泉や今後のキャリアの軸になるものです。

例えば、営業職で成果を挙げてお客さまに喜んでもらうことをやりがいに感じていて、今、自分がいち営業としてできることの限界まで頑張っているという方の場合、喜ぶお客さまをもっと増やしていくには、チームを持ったりマネジメントをする道に進んだり、商品企画など扱っている商材やサービスをより良くしていく道に進むことが考えられると思います。このようにして、仕事に感じてきたやりがいを軸に3年後、5年後のキャリアビジョンを描いていくことができるのです。

キャリアの棚卸しは、一人でもある程度できますが、転職エージェントのキャリアコンサルタントと一緒に取り組むことで、客観的に整理できますし、強み・弱み、仕事への姿勢なども一人でするよりも早く見つけることができます。ご自身である程度整理をしつつ、ぜひ私たちを活用いただければと思います。

宮内 里沙

株式会社リクルート(現リクルートキャリア社)にて、転職サイトや就活サイトのコンテンツ企画/編集業務に従事。
その後、人材派遣会社の営業職、人材紹介企業での営業職/キャリアアドバイザー職等を経て、株式会社キャリア・エックスに入社。
若年層向けのキャリアコンサルティング及び営業を行う。

関連記事