「ベストのシナリオ」と「ベターなシナリオ」を描いて臨む! 不況時のキャリアチェンジのポイント

コラム

未経験の職種へのキャリアチェンジのポイント

新型コロナウイルス感染症の流行により、求人数は減少傾向にあります。その中で未経験の職種へのキャリアチェンジを成功させるにはどんなことに気をつければよいのでしょうか?ポイントを紹介します。

不況時のキャリアチェンジ、5つのポイント

ポイント1:転職市場の市況感を把握する
転職活動時、とくに、不況時には、転職市場の市況感を把握し、そのうえで戦略を練ることが重要です。

コロナ禍の現在、求人数はコロナ前に比べると3割程度減少しています。一方で、転職希望者数に大きな変化はありません。この状況が意味するのは、企業の採用基準が上がっているということ。例えば、コロナ前であればポテンシャルを見込んで採用していた未経験者や第二新卒者向けの求人は数自体が減っていますし、求められる要件も高くなっています。
ポイント2:「ベストなシナリオ」と「ベターなシナリオ」を描いておく
この状況を受けて、キャリアチェンジをめざす上でやっておきたいことが、「ベストなシナリオ」と「ベターなシナリオ」を描いておくことです。

転職には「転籍」と「転職」の2種類があると考えられます。「転籍」は、営業から営業など、同じ職種で所属先を変えること。「転職」は、営業からマーケティング、人事、経営企画、事業企画など、異なる職種に転職することです。

この前提に立ったとき、キャリアチェンジをめざす方にとっては、実現したい「ベストなシナリオ」は、異職種への「転職」ですが、今の市況感からすると、職種はそのままにより自分の志向や希望に合った「転籍」を次のステップとし、さらにその次の段階でキャリアチェンジをめざすという「ベターなシナリオ」もありうることを想定しておけると、柔軟にキャリアを選択することができるのではないかと思います。
ポイント3:採用を強化している業種・企業を見極める
キャリアチェンジをめざす人にとって厳しい市況感の中、キャリアチェンジを成功させるポイントの1つは、コロナ禍においても活発に採用を行っている企業を狙うことです。例えば、絶対数は多くはありませんが、ヘルスケア領域や〇〇×Techなどの領域の企業の中には、大型の資金調達を行い、採用にも投資している企業が見られます。これらの企業が自分の志向に合うようなら、積極的に挑戦していくとよいでしょう。
ポイント4:成果を出すにあたって工夫した点を伝える
選考においては、企業が見ているポイントを押さえた職務経歴書をつくり、的確に伝えることが重要です。企業が見ているのは、「現職であげた成果」だけでなく「その成果をあげるためのプロセス」です。なぜその成果を出そうと思ったのか、成果をあげるためにどのような戦略を描き、どう行動して成果に至ったのか、やらされ仕事ではなく自分から動いた仕事だったのか…など。そのプロセスと成果から抽出できるその人のスキル・素養は、希望する職種でも発揮できるものなのか、入社後再現できるものなのか、というところを企業は見ています。

例えば、現職が営業で「売上を前年比140%伸ばした」と職務経歴書に書いた場合、採用担当者が本当に知りたいのは、「前年比140%の売上UP」という結果そのものではなく、「どのような工夫をしてその数字をあげたのか」「入社後も同じことができるか」です。この「どのようにして」というプロセスを説明できないと、「経歴はすごいけど本当かな?」と疑問を持たれたり、「営業としてすごい人なんだな」という印象で終わってしまったりする可能性があります。

転職市場の市況感が良い時期に「ポテンシャルがあるから採用する」と判断される場合も、「ポテンシャルがある」の根拠となっているのは、定量的にわかる成果と、そのプロセスから見える入社後再現できるスキル・素養などです。企業の採用基準が上がっている今は、この点がより厳しい目で見られているという認識で職務経歴書に表現していきましょう。

ポイント5:その職種である理由を明確にする
未経験からの転職をめざす方たちの転職相談を受けていると、「事業企画をやりたい」「マーケティングをやりたい」「人事をやりたい」といった方が多くいらっしゃいます。ただ、その職種である理由を明確に持っていらっしゃる方は多くありません。例えば、「社会人として成長していく上でその職種に携わることが大事だと思ったから」といった答えが返ってくることがありますが、「現職のままでも成長できるのでは?」「今の仕事をやりたくないだけでは?」という疑念が出てきます。

市況感が良いときはもちろん、悪いときはなおさら、自分の経験に基づいためざす職種への強い思いがなければキャリアチェンジは困難です。納得感のある答えを自分なりに持っておくことが重要です。

もちろん、突き詰めて考えた結果、例えば営業職で「今の会社の営業スタイルが自分の志向と合わないから、よりクライアントと二人三脚で課題解決に取り組む営業に携われる企業に『転籍』したい」という結論になったなら、それがその人にとってのベストな選択です。

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転職エージェントが持つ情報も積極的に活用を

当面の間、この買い手市場は続く見込みです。その中でいかにしてキャリチェンジを成功させるか、紹介した5つのポイントを意識して戦略を立てましょう。その過程で、ぜひ転職エージェントからも情報収集をしていただきたいと思います。

インターネットや友人などから得られる情報は質や鮮度がまちまちで、企業の「今」の状況や、求める人材・スキルのトレンドなどはなかなかわかりづらいものです。一方、転職エージェントは採用意欲のある企業の最新の情報を持っているので、自力で集める以上の情報を得られる可能性が極めて高いでしょう。

例えば、実際にあった例を1つ紹介します。ある転職希望者の方が、口コミサイトであるベンチャー企業の良くない書き込みをたくさん見て、その企業に対してネガティブな印象を持っていらっしゃいました。内容は、社員が皆がむしゃらに働き過ぎていることへの不満。しかし、それは3〜4年前のスタートアップ時の情報で、現在はPCの使用時間に制限があり、それ以上の時間使用する場合は社長許可が必要など、働き方の改善する取り組みが徹底されていることを伝えると、「受けたいです」と考えが変わりました。

このように、転職エージェントは企業の実態について最新のリアルな情報を持っています。お金がかかることではないので、ぜひどんどん聞きに行って、得られた情報をもとに合う・合わないを検討していただきたいと思います。

矢幡 竜之介

高校卒業後、米国での4年間の留学を経て、株式会社リクルートに新卒入社。
広告企画営業として社内表彰多数受賞した後、大手EC企業にてプロモーションコンサルタント及び人事制度立ち上げを経験。
その後、人材ベンチャーにて営業兼キャリアアドバイザー業務、フリーランスを経て、キャリアエックスに入社。

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