新型コロナウィルス感染症の影響から一時的に落ち込んだものの、2022年からは再び増加傾向を見せている転職者数(参考:厚生労働省 令和5年版 労働経済の分析 -持続的な賃上げに向けて-)
2022年だけでもその数は300万人を超え、一つの会社に一生勤め続けるよりも、転職しながらキャリアを形成していくことが一般的になっています。
しかし、一方でジョブホッパーという言葉が聞かれるようになったり、「○社以上、経験しているのは大丈夫?」と不安視されたりするなど、転職回数が多いことをネガティブにとらえる風潮があるのも事実です。
では、実際にどのくらい経験社数があると転職に不利になるのでしょうか。またすでに複数回転職してしまった場合、どう対応すれば良いのでしょうか。
本記事では20代に絞って、転職回数に関わる実態や対策などについて解説します。
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目次
20代の転職に関わるデータ
まずは、実態を把握するために、平均転職回数や転職理由、転職後の心境などについてデータを提示しながら紹介していきます。
平均転職回数
株式会社マイナビ「転職動向調査2024年版(2023年実績)」によると、20代の転職回数でもっとも割合が高いのは1回(男性:48.9%、女性:57.3%)です。
男女ともに2回までで約80%を占めており、3回以上の転職回数があると、平均値から見ると“多い”と評価されると分かります。
転職理由トップ5
・1位:労働時間・環境が不満だった(26.6%)
・2位:仕事が合わなかった(22.0%)
・2位:キャリアアップしたかった(22.0%)
・4位:給与が低かった(21.1%)
・4位:自身の働き方を見直したかった(21.1%)
他の年代(30代・40代・50代)と20代の転職理由が異なるのは、「仕事が合わなかった」、「キャリアアップしたかった」がトップ5に入っていることです。
新卒ではじめに出会った職種への適性がなかったと感じた人、将来のキャリアを考えて20代のうちに動いた人の割合が高いと言えるでしょう(参考:株式会社リクルート リクルートエージェント 年代別転職理由の本音)。
転職後の感想
株式会社学情 20代の働き方研究所の「20代転職経験者アンケート」では、「より希望に合致する企業があれば、再度転職したいと思いますか」という質問に、42.9%が「かなりそう思う」と回答し、42.6%が「ややそう思う」と回答。
さらなるキャリアアップを目指すなど、ポジティブな理由も含まれているでしょうが、合わせて85%以上の転職者が、現状に必ずしも満足していないことが分かります。
また、「転職活動の際にあると良かったと思う機会」として、「職場見学」、「実際の仕事内容を体験できる機会」、「中途で入社した社員と話す機会」がそれぞれ30%以上を占め、トップ3にランクイン。入社前の会社や仕事への理解不足が、再度の転職を検討する要因になったと考えられます。
20代で転職回数が多いと選考に影響する?
では、実際に就職活動の合否に転職回数は影響を与えているのでしょうか。株式会社NEXER CAREER BIBLEの「転職回数と合否の関係」調査をもとに見ていきます。
90%以上の採用担当者が転職回数を気にしている
転職志望者の今までの転職回数と合否について、「全く関係しない」と回答した採用担当者は、わずか9.0%。
「かなり関係する」と明確に答えている割合は11.6%ではあるものの、「多少関係する」がトップの35.6%を占めるなど、少なからず合否に影響していると分かります。
かならずしもネガティブな内容ばかりではありませんが、転職回数が多いと、転職活動に不利に働く可能性が高いと言えるでしょう。
採用担当者からの意見
具体的に転職回数について、採用担当者がどんな意見、考えを持っているのでしょうか。
・あまり多いと採用してもまた転職してしまうのではないかと心配になる。 ・転職理由が致し方ない場合以外は、今後の定着にも課題がある人物と考えられるため、合格にすることは躊躇します。 ・採用するのは大変なので長く続けて欲しい。転職の回数が多い人は、すぐに辞めてしまう傾向があるから、できれば採用したくない。 ・自ら選んだ会社或いは仕事をころころ変わるということ自体、同僚とうまく人間関係を保てないか、飽きっぽい性格か、我慢できないタイプなど面接ではわからない問題があるから。 ・現在のような、就労環境では転職回数と合否は、直接関係はないと言えるが、転職に至った事由が本人の意欲、対人要素などの場合もあり、多少、懐疑的に対応せざるを得ない点は否定できない。 ・転職の原因が問題です。向上心、開拓心で転職した場合は有利ですが、仕事が合わなかったと短期間で転職したような場合は、忍耐力や融和力の問題があることが多いので、その都度事情を良く聞いて判断しました。 ・3回以上、1回目は新卒時のミスマッチ、2回目は不運にもいわゆるブラック企業に当たってしまったことなどは想定できるが、3回目となると根気を疑ってしまうから。 ・年齢によるが、20~30代で2回以上転職している人は避ける。40代以上で4回以上の転職をしている人は避けるようにしています。 |
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20代で転職回数が3回以上ある場合の対策
転職回数の多さがデメリットになりうることは書いてきましたが、「20代でもう3回以上転職している」といった人はどう対策すれば良いのでしょうか。ここでは、具体的にその方法を紹介します。
転職理由を整理する
転職の理由を自分自身で整理し、一貫したストーリーとして説明できるようにしておくことが非常に重要です。これにより、企業側に多くの転職経験をポジティブに捉えてもらえる可能性が高まります。
キャリア全体を振り返る
まずは、今までの軌跡を客観的に振り返ってみましょう。それにより自身のキャリアの全体像が明確になり、一貫性のあるストーリーがつくりやすくなります。
前向きな理由を考える
人間関係や職場環境など、ネガティブな理由は仮に自身が間違っていなくても、応募先企業へ好印象を与えられません。それぞれにポジティブな要素を見つけ、まとめるようにしましょう。
スキルや経験の整理
転職してどのようなスキルや経験が積み重なっていったかを明確にしましょう。それをもとに、応募企業ごとにアピールできるポイントを検討していきます。
具体的なエピソードを準備する
具体的なエピソードは、応募書類や面接時のアピールに説得力を与えます。たとえば、「営業として難易度の高い交渉を、○○の工夫をして成功させた」、「▲▲のプロジェクトを△△に苦労しながらも完結させた」などと企業へ伝えることで、あなたスキルや成長性をより強く応募先企業へ印象付けられます。
応募先企業との関連性を意識する
今までのキャリアが、応募する企業それぞれでどう生かせるのか考えておくことも大切です。「○○の経験が、貴社の▲▲事業の成長に貢献できる」というように、自身のキャリアと応募先企業のニーズとの接点を明確に示すことで、転職経験が強みとなることをアピールできます。
履歴書・職務経歴書でのアピール
書類選考は転職活動の第一関門です。単純に短期離職をしているわけではなく、ポジティブに転職をしていることを伝えることで、採用担当者に好印象を与えられます。整理した情報をもとに、的確に応募書類でアピールしましょう。
ポジティブな転職理由
採用担当者は転職回数の背景にある転職理由を気にします。たとえば、「より専門的なスキルを身につけるため」、「もっと大きな責任ある立場に挑戦するため」、「業界の最先端の技術に触れるため」といった理由を補足することで、ポジティブな転職活動を行っていたことを伝えられます。
獲得したスキル・経験を強調
転職した結果、なにを身に付けられたのかを伝えることも大切です。A社で営業職に出会い、B社ではマーケティングを学び、C社ではマネージャ―を務めたというように、明確なキャリアステップを踏んでいることを伝えられるようにしましょう。
これまでのキャリアと矛盾しない志望理由
今までの転職理由や身に付けたスキルなどをもとに、応募した企業でなにをしたいのか、どんなキャリアを歩みたいかを伝えましょう。
たとえば、「システム開発の受託営業の経験を活かして、今後はSaaSの知識を学びたい」、「自動車部品だけではなく、完成車に携わってみたい」、「一つのチームにとどまらず、部署全体のマネジメントにチャレンジしたい」といったように、各転職が長期的なキャリア目標に向かう過程であり、応募先企業でそれを達成できることが示せれば、説得力を持たせられます。
面接での伝え方
書類選考に通過すれば、次は面接です。事前に提出した履歴書・職務経歴書の内容に沿いながら、自分の言葉で説得力のある説明を心がけましょう。
矛盾のない回答
応募書類で記載した転職理由や応募理由、身に付けたスキルは、面接時に再確認されることがほとんどです。たとえば、履歴書・職務経歴書で記載した退職理由と面接での回答が異なっていれば、面接官の信頼性は大きく下がってしまうでしょう。
必ず面接前に改めて自分のキャリアの情報整理を行い、的確に答えられるよう準備する必要があります。
長く働けることを伝える
企業はほとんどの場合、転職者に自社で長く働いてもらうことを期待しています。採用や育成のための工数、転職エージェント・求人サイトにかかる費用などを考えれば、そうした発想になるのは当然でしょう。
特に転職回数が多い人には、その点で疑問の目を向けられている場合が多々あります。これまでのキャリアを応募先企業の事業内容や業務、風土などと照らし合わせ、長く働ける根拠、気持ちが強くあることを伝えることが求められます。
20代で転職回数が多い方は転職エージェントに相談を
転職エージェントは、様々な業界・企業とネットワークを持ち、たくさんの求職者を転職に導いてきたプロフェッショナルです。
一般的に営業やITエンジニア、施工管理、接客・販売、介護などは転職回数が多い職種に挙げられており、取引のある企業からの情報をもとに、なるべく転職回数がハンデにならない会社を紹介してもらうことが可能。
また、一般応募だと転職回数を理由に書類選考で落ちてしまうところを転職エージェントが企業へ連絡することで、書類が通過することも。
他にも、履歴書・職務経歴書の作成や面接対策のサポートも行っており、自分のキャリアをどう応募先企業へアピールしていくのか、アドバイスをもらえるでしょう。
ポジティブな転職理由、自分のキャリアと企業のニーズのマッチングのさせ方など、第三者の意見をもらうことで改めて気づくポイントもたくさんあるはずです。
さらに、やむを得ない前職の退職理由を企業へ伝えてもらえる場合もあり、様々な角度から転職活動を後押ししてくれます。
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転職回数が増えると、企業からの印象がマイナスに動く可能性があることは否定できません。しかし、うまく自分自身やキャリアをアピールすることで、マイナスをプラスに変えることもできるのです。
とはいえ、「今の環境に不満がある」、「なんとなく仕事がつまらなくなった」といった理由で、安易に転職を繰り返すことはおすすめしません。
これまで自分自身がどんな経験・スキルを積んできたのか、どんな将来像を描いているのかをしっかりと考え、理想を形にするための手段として転職を活用しましょう。
理想への最短距離を進んでいこうと思えば、転職回数も最小限に抑えられるはずです。今後、転職を考えている、キャリアを再構築し長く働ける職場を見つけたいと考えている方は、ぜひキャリア・エックスにご相談ください。