厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」の令和4年度版では、日本人の平均勤続年数は12.3年と比較的長くなっています。
その一方で、2回以上転職している人は20代では23.8%、30代では38.9%と転職を続けている人が一定数いることも確かです(参照:GOLD CAREER)。
その人たちの中には、「とりあえずこの会社で3年くらいは働いてみるか……」と思いつつ、いまいち満足できず、3年程度で転職を繰り返している人も多いのではないでしょうか。
何度も転職を繰り返しているとなかなか生活も落ち着かず、「自分は何を目的に転職しているんだっけ?」と悩んでしまうこともあるはず。そこで今回は、3年で転職を繰り返しながらスキルアップしていく方法を解説します。
自分の転職の方向性に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください!
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目次
転職を繰り返す原因
そもそも、なぜ数年で転職を繰り返したくなるのでしょうか?主な原因について見ていきましょう。
人間関係や労働環境が悪いから
仕事の悩みや転職の理由につながる多くの原因で多いものに、「人間関係」があります。職場の人間関係が悪かったり、ハラスメントが横行しているなどの職場に就職してしまった場合、転職したい気持ちが高まるでしょう。
けれど、完全にホワイトな職場はなかなか無いもの。せっかく転職した先も職務環境が悪く、3年程度は頑張って勤務してもまた転職したくなってしまう人も多いのではないでしょうか。
自己分析や企業研究が十分でないから
就職したときには「面白そう!」と感じていた職務内容も、実際に毎日続けていると「自分には合っていないのではないか……」と感じてしまうことも。
「もっと自分に合った業界や職種があるのではないか」と考え、転職を繰り返す人もいます。適切な自己分析や業界分析を行えていない場合、「この仕事も違う」とギャップが埋まらず、転職を繰り返してしまうようです。
「もうここで学ぶことはない」と感じてしまうから
自身のキャリアプランをしっかりと定めている場合は、自分のスキルアップにふさわしい職場を探して転職する人もいるでしょう。
スタートアップやベンチャー企業でまずは力をつけ、次第に大企業や大きいプロジェクトに関わることのできる企業への転職を目指していくのは、キャリアを伸ばすために有効な手段です。
その場合、おおよそ3年程度で経験を積み、次のステップへ進むために転職するのは自然なことです。
3年未満で転職を繰り返すリスク
では、3年未満で転職を繰り返してしまうことにはどのようなリスクがあるのでしょうか。以下に主なリスクを紹介します。
スキルが身につかない
業界や職種にもよりますが、3年程度では実践的な経験が積めず、スキルが身につかないこともあります。
ひと通りの業務に慣れることはできても、より踏み込んだプロジェクトやマネジメント経験を積むことは難しいでしょう。
その状態で転職を繰り返してしまうと、社会人年数に対して表面的な経験やスキルしか持っていない人材として見られてしまい、望む業界や職種への転職が成功しない可能性もあります。
キャリアプランがいつまでも定まらない
「この業界は合わない」「こっちの職種はどうだろう」と転職を繰り返していると、確固としたキャリアプランを定めることができません。筋の通ったキャリアプランがないと、ただやみくもに転職しているだけで成長できなくなってしまいます。
年齢が上がるほど、転職市場では、きちんとしたキャリアプランとそれに見合った実力が求められるようになるので、キャリアの軸を決めることが重要になります。
「採用しても辞めてしまうのでは」と思われてしまう
3年未満で転職を繰り返していると、転職活動の際に「この人は飽きっぽい性格なのでは?」「せっかく採用してもすぐに退職してしまうのでは?」と思われる可能性があります。
この場合、それぞれの転職の理由を合理的かつ前向きに伝えられるよう対策する必要があります。
漫然と転職を繰り返している人が見直すべき点
3年程度で漫然と転職を繰り返していては、いつまでたっても相性の良い職場と巡り会うことはできません。次の転職活動をより良いものにするためにも、見直すべき点を紹介します。
優先順位を明確にし、「譲れないもの」を決める
「ワークライフバランスを大切にしたい」「今より高い収入を得たい」「リモートワークがしたい」「服装自由がいい」「有名企業で働きたい」など、仕事選びで重視したいポイントはたくさんあるでしょう。
しかし、あれもこれも全てを叶えられる職場は残念ながらほとんどありません。また、希望の条件をあげすぎてしまうと転職先の選択肢も少なくなり、転職が難しくなってしまうことも。
「これだけは絶対に譲れない」ものを決め、優先順位の低い希望については妥協する勇気も必要です。
「何がやりたいのか」自分自身を理解する
ここまで解説してきた通り、転職には在籍期間や回数に関わらずキャリアの軸を定めることが不可欠です。
どのような業界や職種が自分に一番合っているのか、一番熱意をもって取りくめるのか、自分自身を理解することが重要です。自分のあっている仕事であれば、自然と長続きしてスキルも身につくはず。
その結果、ワークライフバランスの取れた仕事の進め方や、より自由な働き方、収入アップの実現にもつながるでしょう。
自己分析の方法については、ぜひ下記の記事も参考にしてみてください。
【【解説】自己分析の簡単なやり方|転職前に必ずするべき理由とは 】
それぞれの職場で築いてきた経験・成果を明確にする
キャリアの軸が明確になったら、これまでの経験や成果を今一度洗い出してみましょう。
携わってきた業界や職種がばらばらの場合でも、チームで成果を出した経験や営業での成績など、数字にできるものは明確にすることが大切です。
また、数字にできない経験でも、職場で心がけていたことや他者からプラスの評価をされた面などもきちんと書き出しておきましょう。こういったキャリアの棚卸しは、転職活動を繰り返す際に非常に重要です。
自分と相性の良い転職エージェントを見つける
キャリアプランの明確化やスキルの棚卸しは自分が主体となって行うべきことですが、客観的な視点からアドバイスしてもらうことも重要です。
その際には、適切な転職エージェントを利用することをおすすめします。
単に求人広告を自分で検索して応募するよりも、転職活動全体をコーディネートしてくれる転職エージェントとタッグを組んで、スキルアップのための転職活動をスタートしましょう。
転職を繰り返している人におすすめの転職エージェントの特徴
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キャリアプランが定まったら、利用する転職エージェントを決めましょう。
通常、数社の転職エージェントサービスに登録して相性の良い転職エージェントの人を見極めていき転職活動を効率良く進めることが多いです。
ここでは、転職を繰り返している人に適した転職エージェントの特徴を紹介します。
丁寧なヒアリングから転職の軸を理解してくれる
転職エージェントにも様々なタイプがありますが、多く転職している人にはヒアリングをきちんと行ってくれる転職エージェントを選ぶことが重要です。
転職を繰り返しているうちに転職の軸やキャリアプランがぶれてしまっている可能性もあります。
そういった際に丁寧に話を聞いてくれて、もう一度、転職の軸やキャリアプランをまとめてくれる転職エージェントサービスを選ぶようにしましょう。
キャリアの棚卸しに協力してくれる
様々な業界や職種を転々としている人は、自分の経験やキャリアを把握しきれていない可能性があります。
その際、今後の転職活動に役立つキャリアの棚卸しに積極的に協力してくれる転職エージェントを頼ることは重要です。
自分では気づいていなかった長所や得意な分野を洗い出すことができるかもしれません。
多くの求人情報を取り扱っている
業界や職種に特化した転職エージェントサービスもありますが、転職を繰り返している人は多くの業界・職種の求人情報を取り扱っている転職エージェントを選ぶと良いでしょう。
なぜなら、転職を繰り返している人のほとんどが、自分のキャリアプランや得意分野を活かせる業界・職種がまだ定まりきっていないからです。
そのため、転職エージェントとやり取りしているうちに目指す方向性が定まったとき、それにマッチングする求人情報をできるだけ多く持っている転職エージェントがおすすめです。
長く勤められる企業に転職するためのポイント
キャリアプランも定まり、転職エージェントにも登録したら、いよいよ転職活動が本格的に始まります。
ここで大切なのは転職活動の進め方です。長く勤められる企業に転職するためにも、心がけたいポイントを紹介します。
転職エージェントとの打合せはこまめに行う
転職活動序盤は、転職エージェントとの打合せを通じて転職の軸をより固めていくことが大切です。エージェントのアドバイスを聞くだけでなく、自分からも、疑問に思っている点や悩んでいる点を積極的に相談しましょう。
打合せをこまめに行い状況や方向性を共有することで、転職エージェントもあなたに適した企業の求人を紹介してくれます。紹介される求人が合わないなと思ったらきちんと転職エージェントに相談することも重要です。
そうすることで互いの齟齬がなくなり、むやみに求人応募するのではなく、自分のキャリアプランに合った求人に絞って転職活動することができるようになります。
職務経歴書にはこれまでの経歴のハイライトを明確に書く
何度も転職をしていると実感しているかと思いますが、転職活動は書類選考通過率が一般的に低いとされており、最初の関門となっています。
特に転職を繰り返している人の場合、それぞれの職場でどのような成果を出してきたかを明確に伝えないと、一貫性のなさや意志の弱さと見なされてしまう可能性があります。
そこで、棚卸ししたキャリアを整理し、それぞれの職場でのハイライトとなる業務については特に強調して書きましょう。具体的な状況や課題解決のための工夫、結果などを記載するとよいです。
職務履歴書は転職エージェントにも必ずチェックしてもらい、ブラッシュアップのためのアドバイスをもらうことも大切です。
転職理由はポジティブな理由を伝える
ほとんどの面接ではそれぞれの企業の退職・転職理由を聞かれます。その際に重要なことは、いずれの転職にもポジティブな理由があったことを伝えることです。
「職場の人間関係が悪かったから」「仕事内容に興味を持てなかったから」などのネガティブな理由を言ってしまうと、「この人は何かと理由をつけてすぐに転職してしまうんだな」と思われかねません。
あらかじめ定めたキャリアプランを明確に伝え、そのためのステップアップを意図した転職であることを強調しましょう。
そのうえで、なぜステップアップのために、志望先の企業を志望しているのか明確に伝えることが重要です。
そうすることで、「この人は当社では長く勤めてくれるだろう」と思ってもらえるでしょう。
スキルアップのためなら3年で転職を繰り返しても大丈夫!
きちんとキャリアプランやスキルアップの目的があるのなら3年で転職を繰り返すことは決して悪いことではありません。転職しているうちに3年以上在籍したくなる企業と出会えることもあるでしょう。
ただし、行き当たりばったりの転職であったり、いつも不満を持ちながら転職している人は、今一度キャリアプランやスキルアップの方向性を考え直す必要があります。
そもそも100%自分にマッチする会社は、残念ながらほとんど存在しません。
「なりたい自分像」が明確で、そのために必要なスキルを習得する割り切った転職であれば問題ありませんが、他責思考や受け身の姿勢だと、何か上手くいかなくなった際に環境のせいにしてまた転職を繰り返す恐れがあります。
大切なことは「自分がどうなりたいのか」「そのために必要な経験・スキルは何か」を明確にすること。そして、「ありたい自分」になるために全力を尽くすことです。
もしどうありたいのか、何が向いているのか、自分でもよくわからないのであれば、転職エージェントに相談すると良いでしょう。あなたの強み、傾向を第三者の視点から整理して、理想のキャリアパスに導いてくれるはずです。
終身雇用や年功序列といった昔ながらのシステムが崩壊しつつある今、一つの企業に新卒からずっと在籍していることの方が少ない時代です。
自分にとってもっとも有意義で達成感のある人生を実現するためにも、上手く転職活動を進めながら良い企業に出会い、自分の思い描くキャリアを築いていきましょう!
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