コンサルティングファームの面接は、「ケース面接」の実施など一般企業の面接とは少し異なる内容となっています。
そのため、未経験からコンサルタントへの転職を目指す場合は特に、どのようなことを聞かれるのか、不安を覚えている方も多いかと思います。
この記事では、コンサル面接でどのようなことを聞かれるのか、重視されるポイントなどについて解説します。これからコンサルへの応募を検討している方は、ぜひご覧ください。
目次
コンサル面接の流れ(選考プロセス)
選考プロセス
コンサルの選考プロセスは一般的に、書類選考、筆記試験、面接、内定という流れになります。
面接回数はコンサルティングファームによって異なり、2回ないし3回という場合が多いようですが、4回以上というところもあります。
通常の面接以外に、ビジネス上の課題に対して限られた時間で解決策を考え、それを論理的に説明するという「ケース面接」も行われます。
面接時間・内容
面接時間のおおよそのイメージは、1回の面接当たりおおよそ1時間前後です。まず自己紹介から始まり、面接担当者からの質問に回答していきます。
良く聞かれる質問は、志望動機や自己PRなどのほか、コンサル経験者であれば、コンサルタントとしての経験やスキル、なぜ転職を志すのか、入社後のキャリアビジョンなど。
未経験者の場合は、なぜコンサルティング業界を志望するのか、なぜこのファームを選んだのかを質問されるケースが多いようです。
そして経験者、未経験者とも、一次面接や二次面接などのタイミングで、ケース面接が実施されるケースが多いようです。
増加傾向にあるWeb面接
コロナ禍以降、コンサルティングファームでは採用選考でWeb面接を取り入れるところが増えています。
Skypeやzoom、Google Meetなどのオンラインweb会議ツールを利用するケースが多いため、応募先のコンサル企業に確認し、早めに自身のPCで登録しておきましょう。
また、ネットがつながらない、音声が聞こえないなどのトラブルに慌てないよう、前日までにネット環境などを確認しておくと良いでしょう。
コンサル面接に臨む際に意識したいポイント
コンサルティングファームの面接に臨む際は、次の点に気を配り、準備しておきましょう。
自信を持って堂々と話す
コンサル面接に限らず、面接で自信を持って話すことは大切です。
あらかじめ自分と向き合い、自身の強みや持ち味、スキルなどを洗い出したうえで面接に臨むことで、自信を持って自分をアピールできるようになるでしょう。
特にコンサルは、クライアント企業の課題解決を担う役割であり、自信を持って提案・プレゼンテーションを行うことが重要です。面接官からも見られているポイントなので、ぜひアピールすることを整理したうえで堂々と臨みましょう。
ゆっくり落ち着いて話す
コンサル面接では、コミュニケーション力の高さも重視されます。中でも、相手にわかりやすく伝える力は、コンサルの必須スキルと言えます。
緊張すると、つい早口になってしまったり、口ごもってしまったりすることがありますが、心を落ち着けて、ゆっくり話すように心がけましょう。
「ゆっくり」を意識すると、どんな質問をされても冷静に対応できるようになり、質問内容に的確に答えられるようにもなるのでお勧めです。
結論から話す
論理的思考力の有無は、コンサル面接で重視されるポイントの一つです。そして「結論から話す」ことは、ロジカルコミュニケーションの基本と言えます。
まず結論を伝えることで、相手に伝えたい発言の趣旨がすぐに伝わり、より効果的に情報を届けることが可能になります。
また、話の内容が端的に伝わるため、「伝える力がある」「コミュニケーション力が高い」と評価される可能性も高いでしょう。
質問に対する回答内容もズレにくくなり、話が脱線する確率も大幅に減らせるため、ぜひ結論ファーストを意識すると良いでしょう。
わからない質問は曖昧に回答しない
もしわからない質問をされた場合は、曖昧に回答するのはやめましょう。
「自分を良く見せたいから」と、さも知っているかのように回答した結果、見当違いな発言をしてしまったり、回答を深掘りされて返答に困ったりするケースがあるようです。いずれもマイナス評価につながる可能性があるため、注意が必要です。
もしも答えに苦慮する質問を投げかけられたら、まずはわかる範囲で回答し、「これ以上は申し訳ないのですがわかりません」などと正直に伝えたほうがイメージが良いでしょう。
想定外の質問を受け、回答内容を考えるのに時間がかかりそうな場合は、「少しだけ考えるお時間をいただけますか?」と伝えるのも一つの方法です。ただし、長々と考え込んでしまうのは避けたほうがいいでしょう。
数秒から十数秒ぐらいまでが一つの目安と考えましょう。
深掘りされても大丈夫なように準備しておく
コンサルタントは「深掘りする」ことが重要な仕事の一つです。
クライアントに質問や疑問などを投げかけながら議論を掘り下げ、本質的な課題や、潜在的な問題などを発見し、解決に導きます。コンサル面接の場でも、一つの回答内容に対し、さらに深掘りして聞かれることが多いのが特徴です。
表面的な答えを準備しておくだけでなく、この回答をしたら次に何を聞かれるのかを考え、準備をしておくと、コンサルタントとしての素養や思考力、洞察力の高さを伝えられるでしょう。
コンサル面接で見られているポイント
コンサル面接では、主に次のようなポイントを見られています。
論理的思考力
コンサルタントにとって、論理的思考力は非常に重要なスキルです。
クライアントに関する情報を集めて分析し、課題を洗い出して最適な解決策を練り上げるには、正確な論理構築が不可欠です。
また、クライアントに提案内容をわかりやすく伝え、理解してもらうためには、情報を整理したうえでロジカルに伝えることが大切です。
回答する際には、前述の「結論から話す」などを意識したうえで、ロジックに破綻がないよう筋道を立てて伝えましょう。
コミュニケーション力
コンサルタントは、社内外さまざまな立場の人とコミュニケーションを取り、提案したり意見を調整したりする機会が非常に多い仕事です。
例えば、クライアントの中に入り込み、社内のさまざまな立場の人からニーズを引き出す力や、社内の関係者と連携を取り、情報共有しながら滞りなくプロジェクトを進める力などは、すべてコミュニケーション力によるものです。
面接においても、相手の質問に的確に答えられているか、会話のキャッチボールが円滑か、深掘りされても臆せず対応できているか…などを見られているので、意識すると良いでしょう。
ポテンシャルの高さ
特に若手の未経験採用の場合は、潜在能力の高さも重要なポイントとされています。
未経験者がポテンシャルをアピールするには、これまでの経験をコンサルティングファームでどう活かせると思うのか、コンサルタントとして成し遂げたい目標、そして入社後のキャリアビジョンなどを、面接を通して明確に示すことが大切です。
英語力
コンサルティングファームでは多くの場合、一定以上の英語力が求められます。外資系コンサルティングファームでは、社内でも英語でやり取りする機会が多く、メールや資料なども英語であるケースが大半です。
国内ファームの場合も、顧客企業のグローバル展開など海外案件が増えていることから、英語力が必要とされる場面が増えています。
ファームにもよりますが、一般的にはTOEIC700点以上、外資系の場合は800点以上が求められるケースが多いと考えられます。
コンサル面接でよく聞かれる質問
コンサルティングファームの面接でよく聞かれる質問と、回答のポイントを解説します。
自己紹介
面接の冒頭に、「簡単に自己紹介をお願いします」と聞かれるケースは非常に多いです。
自己紹介は、面接の導入として質問されるケースが大半であり、第一印象が決まる重要なパートなので、笑顔でハキハキ、簡潔に答えましょう。
「本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます」などと簡単に挨拶をしたうえで、名前と簡単な経歴、そして今回の面接に対する思いや意気込みを伝えましょう。
この後、本格的な質疑応答が始まるため、自己紹介は1〜2分程度でまとめることが大切です。
志望動機(転職動機)
「なぜコンサルを志望したか教えてください」「なぜ当社に応募したのかお聞かせください」などといった、志望動機に関する質問も必ずと言っていいほど聞かれます。
なぜコンサルタントになりたいと思ったのか、応募企業のどういう点に惹かれたのか、あらかじめじっくり考え、答えを用意しておきましょう。
クライアントにどのように貢献したいか・活躍したいか
「コンサルタントとしてクライアントにどう貢献したいのか」「入社したらどのように活躍したいと考えているのか」などを聞かれるケースも多いようです。
コンサル経験者であれば、経験者ならではのスキルや知見をベースに、エピソードを交えながら貢献意欲を伝えましょう。
コンサル未経験の場合も、これまでの経験やスキルを基にどのように貢献できると考えているのか、具体的に語れるようにしておきましょう。
入社後のビジョン・キャリア目標
「入社後どのように成長したいと考えていますか」「入社後のキャリアビジョンをお聞かせください」など、入社後のビジョンや目標についての質問も、コンサル面接での定番です。
将来的にどんなコンサルタントになりたいのか、コンサルタントとしてどんなことを実現したいのか、キャリアビジョンを具体的にイメージしておくと良いでしょう。
その際、自身の成長だけでなく、クライアントの成長や飛躍も考慮したビジョンを伝えることが大切です。
ケース面接
ケース面接は、多くのコンサルティングファームで実施されています。
ケース面接とは、前述のように、ビジネス上の課題に対して限られた時間で解決策を考え、それを面接官に対して論理的に説明するというもので、与えられた情報を基に仮説を立てながら、論理的に解決策を提示する必要があります。
簡単には導き出せない課題を提示されるケースが多く、事前の対策が必須と言えます。ケース面接については、次の項目で詳しくご説明します。
ケース面接の概要
ケース面接では、問題解決能力の高さや論理的思考力の高さを判断するとともに、求職者がコンサルタントとしてふさわしいかどうか、クライアントの課題解決パートナーとして伴走できるかどうかなどが見られています。
一般的には20〜40分程度で行われ、問題開示と個人ワークに5〜10分、その後の時間で発表と質疑応答が行われるというケースが多いようです。
ケース面接の種類は、大きく「フェルミ推定」と「ビジネスケース」にわけられます。
「フェルミ推定」とは、一見するだけでは答えがわからないような数量問題を、最低限の情報や要素から論理的に推測し概算するものです。
例えば、「○○駅の1日当たりの乗降客数を推定してください」「日本国内にある電柱の数を推定してください」などという問題が挙げられます。
「ビジネスケース」とは、実在する、もしくは架空の企業の経営課題を提示され、その解決策を考えるというものです。
例えば、「ある町工場の経営を改善するための戦略を立案してください」「あるゲームアプリケーションの会員数を2倍にするための具体的な施策を提案してください」などという問題です。
いずれも正しい回答が求められているわけではなく、問題に対してどのような思考プロセスで課題にアプローチし、どのように論理的に思考して問題解決につなげたのか、などが見られています。
ケース面接の対策本を活用して問題解決のフレームワークなどを学んだり、普段から社会問題やビジネスの課題について解決策を仮説を立てて考える習慣をつけたりすることをお勧めします。
なお、フェルミ推定とビジネスケースが組み合わされた出題も多いため、両方について対策しておくと良いでしょう。
ケース面接の事例とポイント
例題:
「○○駅前から徒歩10分の位置にあるコンビニエンスストアの売り上げを2倍にする施策を立案してください」
考え方のポイント:
・コンビニエンスストアの客層、立地条件などから、1日当たりの客数と客単価を推定する
・SNSでの情報発信、店内レイアウトの変更、キャンペーン告知の強化、スタッフの接客力向上など、立地や客層に合った集客向上、売り上げ向上のための施策を検討する。
・それぞれの施策の実行可能性を考え、効果を試算し評価する
コンサル面接で重要な「逆質問」の例とNG例
多くの場合、面接の最後に求職者からの逆質問の機会が設けられます。
「何か質問はありますか?」と聞かれ、「特にありません」と答えてしまっては入社意欲を疑われかねません。逆質問は、自分のスキルや強み、意欲や熱意をアピールするチャンスでもあるので、あらかじめ用意しておきましょう。
プロジェクトに関する逆質問
応募先のプロジェクトに関する逆質問は、入社意欲の高さをアピールできるので有効です。
守秘義務もあるので詳細までは深掘りしすぎないよう配慮しつつ、やりがいや苦労点、プロジェクトのアサインの仕方、最近増えているプロジェクトのテーマなどを質問すると良いでしょう。
(逆質問の例)
「入社したら○○のような業務に携わりたいと思っていますが、担当するプロジェクトはどのように決まるのでしょうか?」
「最近関わったプロジェクトについて、どのような点にやりがいを感じ、大変さを覚えたのか、お聞かせいただけますか?」
入社後に関する逆質問
自分が入社した後を想定した逆質問からは、入社意欲の高さや志望度の高さを感じることができます。業務のイメージや、あらかじめ学んでおいたほうがいいことなどから考えると良いでしょう。
(逆質問の例)
「入社後はどのような研修プログラムを経て、どれぐらいの期間で現場に入ることになるのでしょうか?」
「もし内定を頂けたら、入社前にできるだけ知識を身につけておきたいと考えています。今から準備をしておいた方がいいこと、独学したほうがいいことはありますか?」
NGな逆質問
一方で、避けたほうがいい逆質問もあります。
例えば、設立年月日や従業員数、事業内容や競合ファームなど、応募企業のホームページを調べたりネットを検索したりすればすぐわかるようなことは避けましょう。
「企業研究が足りていない」と判断され、「本当に当社に入社したいのだろうか?」と意欲を疑われる恐れがあります。
また、残業時間や休日出勤の有無、有給休暇、福利厚生などについての逆質問もできれば避けたほうが良いでしょう。
いずれも働く上で大事なことではありますが、勤務時間や待遇面ばかりを質問されると、「そればかりを重視しているのだろうか」とネガティブな印象を与えかねません。
入社前に確認しておきたい場合は、ある程度選考が進んだ後や、内定後の条件交渉のタイミングで質問すると良いでしょう。
逆質問の対策のポイント
コンサル面接で効果的な逆質問をするためには、事前に準備しておくことが大切です。次のポイントを意識して、準備を進めておきましょう。
逆質問は複数準備しておく
逆質問は複数を用意しておきましょう。1つだけだと、面接のやり取りの最中に疑問や質問したいことが解消されてしまう可能性があるためです。
一般的には、一次面接、二次面接では2、3個以上、最終面接では3〜5個ほど用意しておくと良いでしょう。前述のように、自己アピールにつながるような質問を考えるのがポイントです。
逆質問への回答イメージを調べておく
逆質問を考えたら、その質問に対してどのような回答が返ってきそうか、調べてみましょう。
自分で調べてみて答えに到達した場合は、「すでに公開されている情報」について聞くことになるため、逆質問として効果的とは言えません。調べても情報が出てこないものを、逆質問リストに入れましょう。
自分の考えを持っておく
単に逆質問を用意するだけでなく、その質問に対してどんな思いや考えを持っているのか、あらかじめイメージしておくと良いでしょう。
コンサル面接の場合、求職者から投げかけた逆質問に対して回答するだけでなく、「あなたはどう思いますか?」「あなたはどう考えていますか?」とさらに質問で返されるケースもあるようです。
逆質問に対してどんな回答が想定され、それに対して自分はどんな感想を持つと考えられるのか、一歩先、二歩先まで考えておくことが大切です。
コンサルへの転職、面接対策ならキャリア・エックスに相談を
コンサルティング業界の求人ニーズは旺盛であり、コンサルタント未経験者にもチャンスが広がっています。
キャリア・エックスでは、多数のコンサルティング業界の求人を保有しており、求職者の方々の経験やスキル、志向や強みに沿った案件をご紹介しています。
転職成功事例も多く、コンサル面接のノウハウやケース面接の事例などナレッジも豊富です。
コンサルティングファームごとの面接アドバイスはもちろん、ケース面接を含めた模擬面接も実施していますので、コンサルの面接に不安を覚えている方はぜひ、キャリア・エックスをご活用ください。