WEB広告運用の仕事が辛いと言われる理由を現役WEBマーケターが解説

WEBマーケティング

こんにちは!未経験業界・職種へのキャリアチェンジに強い転職エージェント『キャリア・エックス』編集部です。


ここ数年で「営業職からマーケティング職に転職したい」という声を良く耳にするようになりました。また、マーケティング職の中でどのような業務をやりたいかを聞くと、WEB広告運用と答えられる方が多くいらっしゃいます。


しかし、WEB広告運用はキラキラしているように見えて実は地味な作業も多く、大変な部分を知らずに転職してしまうと、こんなはずじゃなかった…となりかねません。


今回は、現役WEBマーケターがこれまでの経験をもとに、WEB広告運用の仕事内容や大変な点、逆に楽しい点などをご紹介していきますので、WEB広告運用への転職をご検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください!


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WEB広告運用とは

WEB広告運用とは、GoogleやYahoo!、インスタグラム、X(旧:Twitter)などのWEB媒体に、商品やサービスの広告を出稿することです。


何か検索をした時、一番上に「スポンサー」と書かれた文章が出てきた経験や、SNSを見ている時に、スクロールをしたら「広告」と書かれた画像が出てきた経験はありませんか?


これらは全てWEB広告と呼ばれ、WEB広告の運用者が、紹介したい商品やサービスに関心が高そうなターゲットを絞り込み、そのターゲットが思わずクリックしたくなるような文章や画像を作成して出稿しているのです。


日本国民の90%以上がモバイル端末を持っている(※)現代では、何か商品やサービスの紹介をしたいと考えた時に、真っ先に思い浮かぶ広告媒体と言っても過言ではないかもしれませんね。

※参照:情報通信機器の保有状況

WEB広告運用は将来性が高い仕事

総務省の発表によると、2021年、媒体別広告費において、WEB広告がマスコミ4媒体(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)を初めて上回りました。


その背景には、「テレビ離れ」「新聞離れ」という言葉が出てきているように、マスコミ4媒体の利用者数が減少しており、その代わりとしてインターネット利用者数が増加していることが挙げられます。


今後もこの差は開いていくと予測されていますので、WEB広告の需要がさらに高まっていくことを考えると、WEB広告運用者の需要も同じように高まっていくでしょう。

WEB広告運用の仕事内容

ここではWEB広告運用の仕事を5つのステップに分けてご紹介します。


クリック課金型やインプレッション課金型など細かい違いはありますが、流れはほとんど同じです。

STEP1:ターゲットの確認

広告には当たり前ですがお金がかかりますので、全く違うターゲットに出てしまうとお金の無駄遣いです。

そのため、商品やサービスを誰に販売したいのかを考えて、年齢や性別、興味関心、住んでいる地域などを絞り込む必要があります。


また、広告をただ出すだけでは広告をクリックしてもらえません。大まかなターゲットを絞り込んだ後は、そのターゲットがどのようなことに悩んでいるのか、どのようなワードに興味を持っているのかを考えなければいけません。


事業会社の場合は購入者インタビューやお客様と話す機会が多い営業メンバーと話し合うなどを行い、広告代理店の場合は担当者からしっかりヒアリングをして、お客様目線が持てるようにしましょう。

STEP2:媒体選定・バナーや文章の作成

ターゲットが絞られた後は、そのターゲットを獲得するために一番良い媒体を選定していきます。例えば、10代向けのサービスであればTikTok広告、経営者向けのサービスであればFacebook広告といった感じです。

媒体別の利用者層や特徴はまとめ記事などがありますので、それらを見ながら決めていくといいでしょう。


媒体選定ができたら、その媒体に合わせたバナーや動画・文章を作成します。


STEP1で決めたターゲットが悩んでいることや興味のあるワードに、自社の商品やサービスのメリットを付け加えていく方法が一般的です。

記事とは違い、短い文章で伝えなければいけないため、伝えたいことを上手くまとめるスキルが必要です。

STEP3:広告入稿

広告が作成できたら次は入稿作業です。


媒体によって違いますが、大体は

・キャンペーン

・広告グループ/セット

・広告

の階層に分かれており、キャンペーンでは予算の設定やキャンペーンのタイプを選び、広告グループやセットではターゲットの絞り込み、そして広告では作成した広告を入稿します。


初めてその広告媒体を利用する場合は、タグの設定などの初期設定が必要ですが、採用を行っている多くの企業はすでにその設定が終わっていることがほとんどです。


初期設定が終わっている場合は、入稿した広告をアクティブにした瞬間から広告が配信されますので、不安がある場合は配信前に同僚や上司に確認してもらう方が良いでしょう。

STEP4:効果測定

広告を配信した後は、効果測定を行います。


予算によって頻度は違いますが、1日だけで見てしまうと適切な判断ができないため、1週間〜2週間ほどデータを蓄積してから分析をします。


もちろん、分析の期間は1週間〜2週間ですが、デイリーで数字の確認は必須です。


効果測定では、どの広告グループ/セット、広告の成果が良いのかなどを確認します。見る指標はいくつかありますが、ここでは3つご紹介いたします。

CTR(クリック率)

配信した広告を見た人(インプレッション)のうち、何人の人が広告をクリックしてくれたかの指標です。


CTRが高ければ、配信している広告ターゲットに刺さっているということなのでそのまま配信していいですが、もしCTRが低い場合はターゲットに刺さっていないということなので、広告文や画像の変更が必要です。

CPC(クリック単価)

これは1クリックあたりにいくらかかったかを見る指標です。


CPCは同じKWやターゲットに広告を出している競合とのオークションで決まることが多く、人気のKWだとCPCが高くなりますし、逆に穴場のKWを見つけるとCPCが安くなります。


大手企業と同じKWやターゲットを狙いにいくとCPCが高くなりますので、メインKWだけでなく、少し外れたKWなどを見つけられるかが鍵となります。

CVR(コンバージョン率)

CV(コンバージョン)とは、特定のアクションや目標達成に至る顧客やユーザーの行動を指します。


資料ダウンロードの行動を促したいと思って広告を開始したのであれば資料ダウンロード数がCVとなり、会員登録を促したいと思って広告を開始したのであれば会員登録数がCVとなります。


そして、CVRというのはクリックしてくれた人のうち、何人の人がCVに繋がったかを見る指標です。


この数字に大きく関わる要素はLP(ランディングページ)です。いくら広告がターゲットに刺さってCTRが高くなっても、その次のLPの動線が悪かった場合はCVに至らないためCVRが下がります。


広告を配信する目的のほとんどは、クリックしてもらうためではなくCVに繋げるためであることから、このCVRはとても重要な指標と言えるでしょう。

STEP5:改善施策

STEP4で分析した中で改善が必要な指標が出てきたら、次はその指標の数字を改善するための施策を行います。


この改善施策を出す際に必要なことが、仮説をたくさん持つこととアイディアをたくさん出すことです。


そのためには日々様々な他社の広告を見ておくことが大切になりますので、広告運用を行うことになった場合は、業界問わず幅広い広告を見ておくことをおすすめします。


改善施策を行った後はまたSTEP2のバナーや文章の作成から繰り返します。地道な作業が多いですが、判断を間違えてしまうと成果が改善せずコストだけが消化されてしまうので、常にすべての数字に疑問を持って取り組むようにしましょう。


WEB広告運用の仕事が辛い・大変だと感じる瞬間

仕事内容を見てみると、「楽しそう!」「やってみたい!」と思う人も多いのではないでしょうか?


しかし実際にWEB広告運用をしている人の話を聞くと、「きつい」「辛い」などのネガティブな言葉を聞くこともしばしば。


ではなぜWEB広告運用の仕事は辛い・大変だと言われるのでしょうか?

ここでは、5年ほどWEB広告運用を行ってきた私が思う、WEB広告運用の仕事が辛い・大変だと感じる瞬間を3つご紹介いたします。

お金を使うプレッシャー

広告運用は1万円などの少額から始められる一方で、月1,000万円以上の広告費をかけることもあります。


このように大金を動かすこともある仕事なので「成果を出さなければ」という自分自身でかけてしまうプレッシャーや、お金をかけてるんだから成果を出してくれという周りからのプレッシャーを感じ、そのプレッシャーが焦りや辛いという感情に繋がります。


成果が悪化したから仮説を立てて分析をして色々と施策を打ったけど全く成果が改善しない、なんて時は、目を瞑りたくなるような気持ちになりますよ。

どんどん出てくる競合との差別化

WEB広告を始める企業が増えてきているので、これまで成果が良かったのに急に成果が悪化し、なぜだろうと調べてみたら競合に負けていたということもあります。


類似商品やサービスもどんどん出てきますので、類似商品の広告が流れている中でどうしたら自分達の広告をクリックしてくれるか、他社との差別化ができるような広告を配信することが重要です。


企業にブランド力があれば同じような広告を出しても他社に勝つことができますが、ブランド力がない場合は、見せ方で勝負しなければいけませんので、アイディアを出し続けなければいけない点はかなり大変でしょう。

成果が悪化する/良くなる要因が分からない

WEB広告運用を行っていると、成果が落ちているからなんとかしなければと分析を行い、色々な改善方法を試してみても改善せず…という場合や、特に何も変更を加えていないのに急に成果が良くなることがあります。


いくら分析しても要因が分からず、良くなった場合はまだ良いですが、悪化した場合は「悪化した要因は分かりません」では済まないので大変です。


実際に私も何回か原因が分からない成果の悪化を経験したことがありますが、調べても調べても分からずキツかったのを覚えています。


しっかり分析した上でも分からなかった場合、その後分析にいくら時間を使っても結果は変わりません。「季節要因」など仮説をいくつかメモをしておき、長期休暇など1年の中で同じ状況が起こる場合はその時に、お盆休みなどの1年に1回の場合は年単位で見ていくようにしましょう。

WEB広告運用の仕事が楽しいと感じる瞬間

辛いと感じる瞬間を3つご紹介しましたが、もちろん楽しいと感じる瞬間もたくさんあります。


ここでは2つ、WEB広告運用の楽しいと感じる瞬間をご紹介致します。

数字に現れやすい

WEB広告運用は人相手の仕事なので、広告画像を変えたらCTRが上がった!など、数字にすぐに現れます。


もちろん中々成果が改善しないと辛さを感じることもありますが、それよりも自分が変更したことによりどこかの数字が改善する嬉しさの方が大きく、やりがいにも繋がります。

挑戦がたくさんできる

常に同じ広告を出していても成果は改善しないので、早いときは1週間に1つ以上の新しい広告を作成することも。


「こんな文言試してみたいな」「10代向けなら今流行りのこの言葉を入れてみるのはどうだろう?」など、アイディアがたくさんある場合は、それをすべて試すことができます。


広告運用では「絶対に失敗しない」なんてことはありません。以前成果が出なかった広告を半年後に試してみたら成果が出たということもあります。

正解がない中で自分のアイディアにひたすらに挑戦できるのは、好きな人にとってはとても楽しいでしょう。

WEB広告運用が辛いと感じる人の特徴

WEB広告運用が辛いと感じる瞬間や楽しいと感じる瞬間を私の経験をもとに紹介しましたが、自分にWEB広告運用の仕事が合っていればほとんどのことを楽しいと思えますし、逆に合っていなければほとんどの仕事が辛いと感じるでしょう。


そのため、WEB広告運用が自分に合っているかどうかを知ることが大切です。


ここでは、私の経験からWEB広告運用が辛いと感じるだろう人の特徴をご紹介致しますので、自分に当てはまるかどうか確認してみてください。

数字を扱う仕事が苦手な人

WEB広告運用の仕事の大半は数字を扱う仕事です。月の初めや分析が重なる期間は1日中エクセルで数字の分析を行うこともあるでしょう。


広告の運用以外にも、獲得したCVの展開率や顧客動向などを調べる際などでも数字を扱うので、むしろ数字を扱わない日がないくらいです。


数字を扱う仕事が苦手、パソコンで何かをするよりも話す方が得意だという方は、毎日パソコンを触りながら数字と睨めっこすることが多いこの仕事を辛いと感じることが多いでしょう。

アイデアが中々出ない人

広告バナーや広告文の作成など、アイデアを出すことがWEB広告運用の仕事内容の1つといっても過言ではありません。


さらに、1回考えればそれでお終いではなく、広告運用を続ける限り常にアイディアを出し続けなければいけません。


そのため、1つの物事を色々な角度から見れない人や、何かを想像することが苦手な人は度々出てくるアイデア出しの場面で辛いと感じてしまうでしょう。

辛いポイントを知った上でもWEB広告運用をやりたい!

さて、ここまでWEB広告運用の仕事内容や辛いと感じる瞬間、逆に楽しいと感じる瞬間などをご紹介してまいりました。


それらを読んだ上で、やっぱりWEB広告運用をやってみたいと思った方もいらっしゃるでしょう。


それでは最後に、未経験からWEB広告運用を行うためにできることをご紹介いたします。

社内異動について相談する

社内にマーケティング部があり、そこでWEB広告運用ができる場合は社内異動を申し出てみましょう。


未経験からWEB広告運用に転職するとなると、営業で成果を出せていた経験やマーケティング思考を持って働いていたかなどを見られるため、ハードルは高めです。


そのため、いずれは別の企業のWEB広告運用に転職するとしても、もし社内で異動できる可能性があるのであれば、異動しておくことをおすすめします。

未経験からWEB広告運用に転職する

ハードルは高いとお伝えしましたが、それでも未経験から転職が可能なWEB広告の求人もありますので転職ができないわけではありません。


社内にマーケティング部がない場合や、WEB広告に挑戦したいという理由以外で転職したい理由がある場合は、転職を検討しましょう。



未経験の業界や職種に転職する場合は、転職エージェントを利用することがおすすめです。


なぜなら、今あなたが行っている業務を分解してWEB広告運用向けの強みを見つけてくれたり、そもそもあなたがやりたいことはWEB広告運用で合っているのかを一緒に考えてくれるからです。


また、もし次の転職でWEB広告運用にキャリアチェンジが難しかったとしても、アカウントプランナーなど最終的にWEB広告運用に転職できる職種に転職をおすすめすることも可能です。


自分1人で転職活動を行った場合は、WEB広告運用に転職しようと活動して、ダメだったから今と同じ営業職に転職…と考えてしまいますが、たくさんの企業や仕事を知っている転職エージェントに相談することで少しでもWEB広告運用に近づける転職ができますので、ぜひ未経験の業界・職種にチャレンジする場合は、転職エージェントを利用してください。



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