SaaS企業の株価が下落しているのはなぜ?「SaaSの死」と言われる理由と業界の将来性を解説

こんにちは、「キャリア・エックス」編集部です。

SaaS業界は急成長中であり、転職先として興味を持つ方も多いと思います。

ただ、2026年に入ってから、株式上場している大手SaaS企業の株価が一様に下落しており、一部にSaaS業界の将来を危ぶむ声も上がっています。

この記事では、SaaS企業の株価が下落している理由、そして本当にSaaS業界の将来は危ういのかを冷静に整理します。

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【結論】SaaS業界は成長が続く一方、企業選びの重要性が高まっている

SaaS企業の株価は、2026年に入って以降、世界的に下落傾向にあります。

米国株式市場では、セールスフォース、サービスナウ、アドビといった大手SaaS企業の株価が大きく値を下げ、日本でもマネーフォワード、ラクス、Sansanなどの国内SaaS関連銘柄で下落が見られました。

その背景の一つとして、米AnthropicによるClaude関連の新機能やAIエージェント領域への展開をきっかけに、AIが既存SaaSの一部機能を代替するのではないかという見方が広がったことが挙げられています。こうした懸念から「SaaSの死」という言葉も生まれ、株式が売り込まれる動きにつながりました。

その後は、決算内容や業績見通しを受けて、一部銘柄で買い戻しの動きも見られました。短期的な株価変動だけでSaaS業界全体の将来性を判断するのは早計だといえるでしょう。

SaaS業界はこれからも拡大が続くと予想されており、転職先としても魅力的な業界ではありますが、AIの台頭などを背景に「SaaS企業すべてが右肩上がり」というフェーズは過ぎたと考えられます。今後は個別企業のプロダクトや体制などを見極め、成長が期待できるかどうかという視点で転職先を選ぶことが大切です。

主要SaaS企業の最近の株価動向

国内SaaS株に急落が起きたのは、2026年2月初頭のことです。2月4日の東京市場では、ラクスが前日比13.50%安、Sansanが同12.45%安、freeeが同9.00%安と、SaaS関連銘柄が軒並み大幅安となりました。

前日の米国市場でもマイクロソフト、アドビ、セールスフォースといったソフトウェア大手が下落しており、AIの台頭による競争環境の変化を懸念した売りが国内にも波及した形です。

ただ、業績面を見ると話は変わります。マネーフォワードが2026年4月14日に発表した第1四半期決算では、売上高が前年同期比25.3%増、SaaS ARRが同34.2%増と堅調な成長を維持。決算を機に業績評価を見直す動きも出ています。

株価の短期的な下落だけで、SaaS業界全体の将来性を判断するのは早計だといえるでしょう。

参照:ラクス【3923】の日々株価(日足)|株探
参照:Sansan【4443】の日々株価(日足)|株探
参照:freee【4478】の日々株価(日足)|株探
参照:2026年11月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)|株式会社マネーフォワード

SaaS企業の株価が急落した理由とは?

足元では落ち着いているとはいえ、なぜ今年に入ってSaaS各社の株が売り込まれ、下落したのでしょうか。その理由について詳しく解説します。

きっかけは米AI企業による新サービスへの懸念

株価下落のきっかけの一つとして、米AnthropicによるClaude関連の新機能やAIエージェント領域への展開が挙げられています。文書・資料の作成やデータ分析のほか、営業・マーケティング・経理財務・人事業務といった幅広い業務支援が可能になるとされており、既存のSaaSサービスと競合する部分が多いことから、「従来のSaaSは必要なくなるのではないか」との懸念が一気に広がりました。

まず米国のSaaS関連企業の株価が急落し、その動きが国内にも波及した格好です。

株式市場は、AI普及によるユーザーの内製化を懸念

株式市場が懸念しているのは、AIサービスの普及により、SaaS各社のユーザーである企業が業務用SaaSを内製するようになるのではないかという点です。AIに機能を追加することで、例えば営業業務における顧客リサーチ、提案書作成、営業数字の管理・分析などをまとめて行うことが事実上可能になりつつあります。

業務用SaaSを内製化できるようになれば、これまで拡大の一途だったSaaS需要が縮小する可能性がある、との懸念が強まっています。

AIエージェントの台頭も影響

AIエージェントとは、目標に向かってAIが自ら計画を立て、自律的に行動する能動的AIのことです。多くの業務を代替できる可能性があるとされており、今後の普及が注目されています。

また、AIエージェントの普及によって業務効率化が進めば、将来的に一部業務の人員配置やSaaSの利用席数に影響が出るのではないか、という見方もあります。こうした懸念が、SaaS関連銘柄の売り材料になったと考えられます。

「SaaSの死」は本当?「オワコン化」の噂を徹底解説

では実際のところ、SaaS業界への懸念はどこまで本当なのか、「SaaSの死」「オワコン化」といった見方について整理します。

AIの影響はあるものの業界の成長は続く

BOXIL SaaS「SaaS業界レポート2025」によると、国内SaaS市場のCAGR(年平均成長率)は11.6%増と拡大が続いており、2029年度には市場規模が3.4兆円に達すると予想されています。

また、懸念されている「ユーザー企業の内製化」についても、現実的には難しいとの見方が優勢です。SaaS各社が展開するサービスは、その分野の専門性を持つエンジニアが多額の予算をかけて開発し、蓄積したノウハウを基にブラッシュアップを続けています。AIが進化しても、各ユーザー企業が同等レベルの機能を持つソフトウェアを内製するのは難易度が高く、セキュリティリスクも伴うことから、当面のAIエージェントの影響は限定的とみられています。

企業のSaaSニーズ自体は高い!より選別が強まる傾向に

業務効率化・生産性向上につながるSaaSサービスは、今や企業にとってなくてはならないものになっており、ニーズ自体は高い状態が続くとみられます。

ただ、AIエージェントの台頭を受け、「SaaSを活用するからには、より自社に合い、かつ高水準のものを」という要望が高まるとみられ、より選別感が強まると予想されます。商品力の高さはもちろんのこと、時代やニーズに合わせた継続的なアップデート、丁寧な保守運用、顧客対応の姿勢なども問われるでしょう。

変化対応力が高いSaaS企業は引き続き成長する

こうした動きにいち早く対応している、変化対応力の高いSaaS企業は、引き続きユーザー企業に選ばれ、成長が続くとみられます。

例えば、AIと連携したSaaSへの対応が進んでいる企業、専門性に特化し差別化が進んでいる企業、顧客満足の追求を徹底している企業などは、引き続き選ばれると考えられます。さらには、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)とSaaSを組み合わせた「BPaaS」への移行に注力している企業も、今後の成長が期待されています。

主要なSaaS企業を比較したい方は、以下の記事も参考にしてください。

今後も伸びるSaaS企業の特徴とは?「勝てるSaaS」の条件

今後も伸びると考えられるSaaS企業の特徴について解説します。次のような視点を踏まえてSaaS業界を見ると、企業ごとの違いも見えやすくなるでしょう。

プロダクトが強い

SaaSの事業領域は多岐にわたりますが、各領域内で複数の企業がそれぞれのプロダクトを展開し、日々競争しています。機能やクオリティ、利便性、価格、顧客志向の強さなど、独自の優位性があり、他社と明確に差別化が図れている企業は、ユーザー企業に選ばれる可能性が高く、今後の成長も期待できるでしょう。

AIとの連携が進んでいる

AIはデータと連携することでさらに精度が高まります。今後のSaaS企業にとって、AIとの連携は競争力を高める重要な要素になりつつあります。いち早く連携を進めている企業はプロダクトの優位性が高く、既存契約のアップグレードも容易になるでしょう。

LTVが高い

LTVとは「Life Time Value=顧客生涯価値」のことで、1つの顧客が解約するまでに生み出される利益を指します。LTVが高い企業はそれだけ顧客満足が高く、競合優位性も高いと判断できます。

顧客志向が高い

「SaaS業界で最終的に生き残るのは、顧客志向が高い企業」との声もあります。気軽に活用できるAIではなく「SaaS企業」が介在する価値は、企業の課題を抽出して解決のために伴走する体制や、企業に寄り添いきめ細かくフォローし続ける姿勢などにあります。プロダクトの差別化だけでなく、顧客満足の追求を徹底している企業は、引き続き選ばれ続けるでしょう。

今、SaaS業界に転職するのはアリ?ナシ?

上記を踏まえ、今SaaS業界に転職すべきかどうかについて解説します。

成長業界であり転職するのはアリ。選別眼がより必要に

前述のように、SaaS業界は成長中にあり、今後も成長基調が続くと予想されています。国内では数少ない成長業界であり、業界全体の勢いを感じながらモチベーション高く働けるのは魅力的です。

ただ、全ての企業が成長するフェーズではなく、転職の際には個別企業を十分に見極め判断する必要があります。前述の「今後も伸びるSaaS企業の特徴」などを参考に、成長が期待される企業を選択しましょう。

AI対応が遅れている企業には注意

今後はAIエージェントの台頭が予想され、SaaS×AIへの対応は競争力を左右する要素となる見通しです。AI対応が遅れているSaaS企業は、業界全体の流れに取り残されてしまう可能性があります。あらかじめ企業のホームページなどで確認したり、面接の際にAI対応について逆質問してみたりすると良いでしょう。

転職エージェントの活用が有効

そうはいっても、外からは各企業の「実際のところ」はなかなか見えにくいものです。AIへの対応がどこまで進んでいるのか、顧客志向がどこまで徹底されているのか、競合優位性は本物なのかどうか、入社してみないとわからない部分はどうしてもあります。

SaaS業界に強みを持つ転職エージェントを活用すると、求人票だけでは分かりにくい企業の成長性や組織状況、選考で見られるポイントを確認しやすくなります。キャリア・エックスでも、SaaS業界の求人紹介やキャリア相談を行っています。

まとめ

SaaS企業の株価下落には、AI普及による構造変化への懸念が影響しています。ただし、株価の短期的な動きだけでSaaS業界全体の将来性を判断するのは早計です。

SaaS業界への転職では、事業の強さ、プロダクトの優位性、AI対応、顧客基盤などを総合的に見ることが大切です。自分に合うSaaS企業を見極めたい方は、SaaS領域に詳しい転職エージェントに相談するのも一つの方法です。

転職先の選び方をもう少し具体的に知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

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東海林 浩樹

この記事の監修者

東海林 浩樹 コンサルタント

前職リクルート時代、採用チーム責任者として約3000人の面接を経験。 様々な人生と向き合わせて頂く中で、「その一個人の人生において、よりよい機会を提供していけるか」が全ての一歩だと確信しました。転職するしないに関わらず、「ご自身が気づいていない強み」「生きるエネルギーの源泉」を発掘することを私の使命と捉え、皆様にとって、気軽にご相談できるパートナーでありたいと考えております。

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