SaaS企業への転職を検討して、求人情報を眺めているあなた。
一言にSaaSといっても様々な企業が存在しますが、職種別に考えると、応募条件や必須条件は共通しているものが多いと感じませんか?
1つの例として、フィールドセールスの求人情報は、法人営業経験者を求めている旨を掲載している企業が多いです。
このように、職種によって必要な条件はいくつか共通しているものがあります。
本記事ではSaaS企業がどのような人材を求めているのか?を実際にネット上に掲載されている求人情報を元に解説していきます。
職種別に解説しており、本記事では下記の職種についてお話します。
- マーケティング
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
ぜひ、最後まで読み進めて頂けたら幸いです。
SaaSとは
SaaSとは「Software as a Service」の略です。
一般的には「サース」や「サーズ」と呼ばれており、インターネットを通じてソフトウェアを利用できるサービスのことを指します。
従来のソフトウェアは、企業内のサーバーやコンピューターにインストールする必要がありましたが、SaaSの場合はサービスを提供する側のサーバーでソフトウェアを稼働させるので、ユーザーはインターネット経由でソフトウェアの機能を活用できます。
最近、よく耳にするようになった「サブスクリプション」というのは、SaaSを利用する料金形態の1つです。
チャーンレート(解約率)やLTV(顧客生涯価値)などが重要な指標になっており、顧客に継続して自社サービスを利用してもらうことで利益を得るビジネスモデルになっています。
近年では、新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの企業が業務サービスのデジタル化が進み、ますます発展していると言われています。
SaaS企業はどんな仕事があるか
企業によって違いはありますが、主に営業部門は下記の職種で構成されています。
- マーケティング
- インサイドセールス
- フィールドセールス
- カスタマーサクセス
他にもプロダクトマネージャーやエンジニア(開発)、企業の経営や管理機能を担う、総務部や人事部などコーポレート職種もあります。
本記事では、営業部門の職種を解説します。
マーケティング
企業によっては営業職と同じ部門に分けられたり、営業とは別で、独立した部門として扱われたりしています。
自社プロダクトの販売促進の為に、競合サービスや市場動向を分析し、集客戦略の立案、企画の立案や実行などに携わる仕事です。
プロダクトがどのような顧客に対して、どんな価値を提供できるかを定め、ターゲットとする顧客に対してどのようにアプローチするかを計画・実行することを求められます。
自身のアイディアを反映させて仕事に活かすことができます。
マーケティングと言っても種類が様々あり、webマーケティング、コンテンツマーケティングなど、業務内容は幅広いです。
インサイドセールス
電話やメール、web会議ツールなどを利用して、顧客と直接対面せずに営業をかける職種です。
1番最初に顧客と接点を持つことになるので、企業の第一印象を決める大事な存在になっています。
数多くの顧客と接点を持つことで、マーケットの理解を深め、顧客規模やニーズごとにセグメント分けをし、顧客の課題や要望をプロダクト組織にフィードバックすることもあります。
フィールドセールス
顧客の元へ出向き、直接対面で営業をかけて、クロージングまで対応する職種です。
従来の営業スタイルに近い、と言えるでしょう。
しかし、従来の営業とは違う点があります。
インサイドセールスが得た、成約見込み顧客情報を元に訪問先を決められるため、成約の可能性が高い顧客と対面することが多く、従来の営業より効率的に仕事を進められます。
カスタマーサクセス
既に自社製品を利用している顧客の不満や課題をヒアリングし、自社サービスを継続して利用し続けていただけるようにアプローチする職種です。
SaaS企業の特徴的な職種で、SaaSビジネスの中で重要指数の1つである解約率(チャーンレート)の低下を防ぎ、顧客満足度やリピート率に貢献する役割を担っています。
今後、多くのSaaS企業がカスタマーサクセスチームへの投資が加速すると言われるほど重要視されており、ニーズが高まることが予想されます。
カスタマーサクセスについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
マーケティングの求人情報
マーケティングの求人情報は年収400万円~800万円が多く、年齢を制限している企業が少ないです。マネージャーや部長クラスは、800万〜1200万程度のポジションもあります。
しかし、「20代後半以降の方は〇〇の経験必須」といった、特定の年齢を超えたら条件を加えられることがあります。経験があれば、30代40代でも可能な職種です。
どんなスキルを求めているか
データ収集・分析スキル
ユーザーデータや、行動履歴や広告効果などの様々なデータの調査、分析、データの差違から何が起こっているのかを仮説立て、それに対する方法を模索することはマーケティングの仕事の中心になります。
また、市場にあった企画を考える為に、日頃からSNSやネットニュースに目を向けて情報を仕入れる努力が必要不可欠です。
企画・発想力
データを集めて、分析し、戦略や企画を立案しなければなりません。
時には他の人が思いつかないような斬新なアイディアを生み出さなくてはならない場面もあるでしょう。
プレゼンテーションスキル・巻き込み力
どんなに優れた戦略を計画しても、それを提案する相手に伝わらないと意味がありません。
顧客だけではなく、関連する社内のチームや、上司にも分かりやすく伝えられるスキルが必要です。
どんな経験を求めているか
市場調査やセールス、マーケティング系プロジェクトの経験
他業界であっても、実際にマーケティングの実務経験がある人材を求めています。
企業によっては、ある程度の年齢以上の人が応募する場合は必須条件として提示しているところもあります。
同業界や扱う商品が近い方が即戦力と判断されがちですが、他業界ならではの目線やアイディアを期待していることが考えられます。
マーケティング系の経験がない方で、セールス職のご経験をお持ちの場合、顧客の声からマーケット全体の大きな課題を捉えた経験、顧客のヒアリングを通じてマーケットニーズを捉えた経験として昇華できれば、マーケティング職に求める経験として捉えられます。
プロダクトの売り先(販売先)の業界での実務経験
マーケティングとしての実務経験がなくても、自社プロダクトのニーズがある業界での経験があれば、優遇されやすい傾向にあります。
例えば、保険業界に特化したプロダクトを持つ企業の場合、保険業界で働いたご経験がある方だと、顧客側の気持ちに寄り添った、業界経験を活かしたマーケティングが可能になります。
展示会やイベントの企画・運営経験
自社プロダクトを認知してもらうために展示会やセミナーなどのイベントを企画して実施することがあるため、重要視されるケースもあるようです。
特に、SaaS企業は、BtoB(法人向け)マーケティング、法人向けの販売促進がメインとなるため、イベント企画などの実務経験はプラスに捉えられます(オフラインマーケティング)。
仕事としてではなくても、学生時代にイベントを企画して立ち上げた経験、多くの顧客を集客した経験があるならば、それもアピールする材料になるでしょう。
どんなマインドを求めているか
日頃からトレンドを取り入れようとしている
マーケティングをする上で、今のトレンドは何なのかを知ることが重要です。
そのため、日頃から今のトレンドをリサーチし、顧客ニーズを理解する必要があります。
地道に努力する
マーケティングの業務は一見すると、華やかなイメージがある職種ですが、実際の業務内容は地味な検証と改善の繰り返しです。
成果が出るまで、コツコツと続けられる精神力が求められます。
インサイドセールスの求人情報
営業職の1つ、インサイドセールスの求人情報は、年収が300万円~800万円が多いです。
営業経験やコールセンターの経験がある人、またIT業界で働いた経験がある人など募集条件は様々です。
どんなスキルを求めているか
データ分析スキル
営業活動を続けていると、顧客の要望やこれからの課題、それにともなう営業活動履歴などの大量の情報が集まります。
その集まった情報を元にして、顧客に段階的にアプローチをかけて、信頼構築を築いて、利用意欲を高めるリードナーチャリングを行います。
リードナーチャリングを行うには、集めた情報を整理して、適切な分析が必要になります。
ヒアリング力
顧客が抱いている不満やニーズの変化を素早く察知し、的確な提案を行うためにはヒアリングスキルが必要です。
インサイドセールスの営業は、顧客の顔が見えないため、相手の言葉をそのまま鵜呑みにしていしまいがちです。
そのため、ただ顧客から情報を聞き出すだけではなく、その言葉の裏に隠された意味を考えられなければなりません。
コミュニケーションスキル
顧客とのコミュニケーションだけはなく、同じ社内の人ともコミュニケーションをとることも大事です。
業務内容によっては、1人ではなく、チームで行動することが求められます。
その際に円滑にコミュニケーションがとれるスキルが必要です。
どんな経験を求めているか
コールセンター経験
インサイドセールスは、顧客と対面はせずに、電話やweb会議ツールを利用しての営業になります。
その業務内容がコールセンターと似ているため、応募条件の1つにコールセンターでの実務経験を挙げている企業もあります。
営業経験
業界は問われませんが、営業を経験した人は重宝されます。
特に、自社製品の新規営業経験や、自社製品を利用して顧客の問題を解決する「ソリューション営業」の経験があれば即戦力をアピールできます。
また、「法人営業」経験があれば、インサイドセールスへの転職に有利になります。
どんなマインドを求めているか
スピード!やるべきことを後回しにせず、早く済ます
インサイドセールスは「リストの作成」「顧客への電話」「メールの送信」「活動履歴の入力」など、多岐に渡る業務をスピーディーにこなしていくのがポイントです。
そのため、業務の進行スピードが速い人ほど、より多くのアプローチが可能になります。
撃たれ強いメンタル
業務中、送信したメールが読まれていなかったり、顧客からクレームの電話を受けたりすることもあるでしょう。
そのときにクヨクヨしない人がインサイドセールスに向いていると捉えられているため、メンタルも求められます。
フィールドセールスの求人情報
フィールドセールスの求人情報は年収の幅が広く、下限が400万~500万、上限は800万~1000万円程度が相場と言われています。
年収に大きく幅があるのは、経験やスキルにより初年度から年収が異なる為です。
企業によっては無形商材の営業経験やSaas事業の法人営業経験を必須にしているところも多く見られます。
どんなスキルを求めているか
コミュニケーション能力
フィールドセールスは顧客と直接対面して営業を行いますので、相手が何を求めているのかを、会話や表情などで読み取り提案するコミュニケーション能力は必須と言えるでしょう。
顧客だけではなく、見込み顧客の情報をくれる、インサイドセールスとの連携も大事になってくるので、社内間でのコミュニケーションも疎かにしてはいけません。
分析能力
ここでの分析とは、マーケティングデータを細かく解析するようなことではなく、物事の本質を見極める力という意味です。
フィールドセールスの業務中にクロージングに失敗してしまう、クレームを受けてしまうなどの問題が発生することもあるでしょう。
起きたことを嘆き続けるのではなく、なぜ問題が起きたのか?どうすればその問題を防げたか?などの分析し、問題の本質を探すことが大事になります。
どんな経験を求めているか
法人営業経験
実際にフィールドセールスへの転職求人では、法人営業として数年勤務していることを必須条件にしている企業が多くあります。
SaaS営業は対個人ではなく対企業への営業がメインなので、法人営業経験が求められています。
インサイドセールス経験
企業によっては、新卒で入社した場合、インサイドセールスを経験させてからフィールドセールスやカスタマーサクセスなどの他の営業部門へ配属させるといった教育体制をとっているところもあります。
実際に現職でフィールドセールスとして、活躍されている方は、インサイドセールスを経験されている方が多いです。
どんなマインドを求めているか
顧客志向
顧客のことを第一に考え、素早く行動できる人は大いに活躍できます。
顧客の状況を理解し、顧客の立場に立った提案が必要になります。
根本として、相手のことを考えられるほど顧客に興味を持てるかどうかがフィールドセールスの適正要因になってくるかもしれません。
仕事が丁寧で真面目、関係構築力
どんな職種にも当てはまるものではありますが、フィールドセールスにおいても重要です。
フィールドセールスは顧客との信頼関係を築くことが大事ですので、こまめに連絡をとる、提示した納期は守るといった業務を丁寧に進め、信頼を得ることが重要です。
真面目な人間性で物事を丁寧に進められるタイプの方は、顧客に安心感を与え、信頼関係をすぐに築きあげることができ、成果もついてくると考えられているので企業から重宝されるでしょう。
カスタマーサクセスの求人情報
カスタマーサクセスの求人情報は、年収が300万円~800万円が相場で、企業によってばらつきがあります。
その理由として、近年、SaaSが注目され始めたことで、新しくできた職種だということもあり、まだ相場が定まっていないと考えられます。
実際にカスタマーサクセス部門の新規立ち上げスタッフの求人が目立っています。
どんなスキルを求めているか
顧客との関係構築スキル
カスタマーサクセスの仕事は、顧客のビジネスを理解して、ニーズを的確につかみながら密にコミュニケーションをとっていく必要があります。
顧客との信頼関係を構築するためには、ヒアリングから本質を掴んだ上で対応をしていかなければなりません。
時には言葉だけではなく、非言語的な部分も読み取れるかどうかも重要になってくるでしょう。
課題発見・問題解決のスキル
課題や問題を発見し、解決や達成するためにどう行動すれば良いか考えなければなりません。
問題発生が予想されるとき、その問題が発生する前に対応することや、課題に対して変化を起こすための向上策を打つことが求められます。
業務設計・企画のスキル
顧客から情報を得て、分析した後に問題や課題を発見したらその解決策を見出さなければなりません。
そして、その解決策の内容を、顧客の実際の業務に落とし込むサポートまで行います。
つまり、業務設計のスキルが必要だということです。
顧客の業務を改善したり、追加すれば、業務フローや必要な人員も変わります。
顧客の業務にかける時間や人件費、費用まで変わっていくわけです。
最終的に顧客を成功に導くためのプロセスまで考えて企画する必要があります。
どんな経験を求めているか
法人営業経験
比較的に新しい職種ということもあって、長年のカスタマーサクセス経験者と言える人材が転職市場にはまだ少ないです。
そのため、法人営業で一定の成果をあげた経験を望む声が多いです。
企業によっては必須条件にしているところもあります。
IT系エンジニアとしての実務経験・エンジニアとの協働経験
顧客の要望に応える過程で、自社プロダクトに対しての理解度が重要です。
エンジニア(開発)経験があれば、プロダクトを利用する立場はもちろんのこと、開発する立場に立って考えることもできるので、仕事に活かすことができます。
また、カスタマーサクセスは、顧客の声をプロダクト側に反映し、商品企画業務に携わることもあります。そのため、社内のエンジニアとの連携をとることも多いため、エンジニアの知識や経験があれば、円滑に話を進めることができるでしょう。
どんなマインドを求めているか
顧客の立場に立って物事を考えられる
顧客の目線になり「自分だったらこう対応してくれると嬉しい」ということを考え、顧客の役に立つために動ける人材が活躍できます。
米国の優秀なカスタマーサクセスには「いい人」が多いといわれており、経験や実績が豊富な人ほど「優しい」とされています。
仕事だからやっているのではなく、そもそも人の役に立つことが好き!、貢献したい!という気持ちで行動してるからこそ活躍できるのです。
感情だけで動かず、論理的に考える
優秀なカスタマーサクセスは「いい人」が多いと前述しましたが、情に流されたり、人情や人間関係だけで意思決定するのではダメです。
より多くの成功を顧客に届けるためには、データに基づき、論理的に考えて、意思決定することに拘りを持っていなければなりません。
業界内の笑い話ですが「ケンカをしたときに大声で言い返すタイプは、カスタマーサクセスには向いていない」と言われています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ここまで、職種別にスキルや経験、どんなマインドが求められるかを解説しました。
本記事がSaaS営業へご興味を持つきっかけになれば幸いです。
弊社キャリア・エックスでは、未経験からSaaS業界へのキャリアチェンジを多数支援しています。ご興味ある方は、以下よりぜひお気軽にご相談ください!