社会人3年目からの挫折と成功で学んだファクトと向き合い、人を巻き込む姿勢。
リクルートで人材領域の営業・企画や新卒採用、新規事業開発に従事したのち、2015年にキャリア・エックスを創業した東海林。仕事に対するスタンスを大きな影響を与えたリクルート時代の経験と、キャリア・エックスの事業に対する思いとは。
チェンジのきっかけ
営業から商品企画部門への異動で打ち砕かれた自信
社会人3年目の苦労
東海林が自らの仕事に対するスタンスを確立したのは、社会人3年目。リクルートで人材領域の営業部門から商品企画部門に異動したことがきっかけだった。異動先は、学生向け就職情報サイト『リクナビ』の商品企画部門。企業の課題を解決し、学生の就活にも役立ち、そして、自社の収益につながるリクナビの仕組みや広告枠を企画することが求められた役割だった。
営業として多数の企業と接し、信頼を得てきた経験から、
「自分こそが、企画部門でもっともクライアントのことを理解している。クライアントの課題を解決できる商品をつくるのは自分だ」
という意気込みでいたが、その思いとは裏腹に、考えた企画はまったく通らなかった。
「リクナビという巨大なシステムに新しい企画を導入するにあたってケアすべきことがまったくわかっていない上、自分の主観でしか企画を考えられていませんでした。
しかも、当時の商品企画部門にいたのは経験年数の長い先輩ばかりで、上長からは『自走できないメンバーはいらない。自分で学べ』と言われていて。企画を出しては、先輩はもちろん数多ある関係部署から会議で疑義を呈され、懸念を示されることの連続で、落ち込んでばかりいました」
継続と感謝
「このままでは自分の心が折れてしまう」。そう思った東海林は、まずは1つだけ、毎日必ず達成すると決めた目標を自分に課した。それは、1日の終わりに、その日に接した人たちに感謝を伝えること。自分の中で「1人ありがとうキャンペーン」と名づけ、打ち合わせの相手や意見をもらった人に対して、退勤前に直接ないしメールでお礼を伝えることを始めた。
「できないことを認めて、周りに敬意を払おう、と。加えて、毎日『今日の自分は、自分との約束をちゃんと遂行できた』と思うことで、自信を取り戻そうとしたんだと思います」
そうするうちに、起案にあたって見落としている点、ケアすべき他部署の動きなどについて助言してくれる人が増えてきた。1人ありがとうキャンペーンと並行して、社内に蓄積されている学生への調査結果を読み込むことを始めていた東海林は、学生の声を拠りどころに企画を考えるようになり、最終的に、社内で承認を得られるだけの企業にも、学生にもメリットのある商品を企画。20〜30億円の売り上げ増を実現した。