社会人生活を数年送ってきた今、世界が日に日に変わっていくのを感じる。自分の強みも少しずつ見えてきた。だからと言って、自分のためだけじゃない、社会の役に立ちたい。そんな風に転職を考えている方は多いのではないでしょうか?
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【Vol.2 モノグサ株式会社】
- 記憶のプラットフォーム「Monoxer(モノグサ)」を開発・運営
- 2,500教室以上の導入実績で、国内トップクラスの実績を誇るEdTechサービサー
- 世界の教育市場400兆円を見据える、究極のアルゴリズムカンパニー!
記憶を科学し、プラットフォームを提供すること
コロナ禍により都市部と地方部、私立と公立、パソコンやタブレットを持っているか否か、インターネットやWi-Fi環境が整っているか否かにより、さらに格差が浮き彫りとなった教育業界。その格差を「記憶を科学し、プラットフォームを提供すること」で是正しようとしているのが、記憶のプラットフォーム『Monoxer(モノグサ)』を開発・運営するモノグサ株式会社だ。
特に今、コロナ感染者が出た学校などで休校が相次ぐなか、教育コンテンツをデジタル化したオンライン学習サービスを提供するEdTech(エドテック)カンパニーに注目が集まっている。しかし、モノグサはあえて自社コンテンツを持たず、この市場でプラットフォーマーとして一線を画している。
生徒の学習習熟度に応じた問題の自動生成
まずは「記憶を日常に。」をビジョンに掲げるモノグサが開発・運営する、解いて憶える記憶アプリ『Monoxer』について見ていこう。このアプリは、手書き入力機能を充実させ、生徒の学習習熟度に応じた問題の自動生成から、誤答の自動生成、採点、単元ごとの定着度の確認、定着度に応じたクラス分けまでを支援する。
従来、日本では「詰め込み教育」という言葉に象徴されるように、記憶することにはネガティブなイメージがつきまとってきた。しかし、記憶することは、『理解』→『定着』→『活用』という3つの学習ステップの中で『定着』にあたり、定着しなければ知識を活用できない。ここに教育界のジレンマがあると感じたCEOの竹内氏は「記憶することをより身近で、気軽な行為に変えること」に目を付けた。そして「記憶がなぜつらいのか」を考えた時、記憶しなければならない量が増え、記憶を保持しなければならない期間(入試の日までなど)が設定された途端に苦しく感じるようになると気が付いたのだ。つまり、記憶すること自体が苦しいのではなく、記憶の「管理」が苦しいので、苦痛な管理を機械に任せれば、記憶はもっと身近で、気軽なものになるはず。そんな発想から、『Monoxer』は生まれた。
記憶を管理することで定着を促す仕組みだが、この「定着」こそが、実はデジタル化の効果が最も現れやすい分野であり、「理解」と「活用」は人の手を介した方が効率的に進むという。
導入実績は2,500教室以上
あえて自社コンテンツを持たず、プラットフォーマーとして一線を画しているモノグサには、さらなる必勝法があった。それは既存の教育カンパニー(学校、塾、教育系出版社など)をディスラプトせず、むしろアライアンスすることで「B to B」でサービスを提供できたことだ。学校や塾は今まで自分たちが独自に開発してきた教科書をデジタル化して差別化を図ることが出来るし、出版社は発行している教材のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進めることができ、win-winの関係が築けるからだ。
まずは学校・塾向けのSaaS(Software as a Service)として成長させ、キャッシュフローやマーケットプレイスにおける買い手側を抑えたうえで、プラットフォームとして展開。その結果、導入実績は2,500教室以上と、EdTechサービスとして国内トップクラスの実績を誇るまでに至った。
「記憶活動に取り組むすべての人」をターゲット
「記憶のプラットフォーマー」であるからこそ、モノグサの快進撃はここで終わらない。日本の学習塾・予備校市場の規模は、約9,000億円と微増を続けてはいるものの、少子高齢化が進む日本社会において成長産業であるとは言えない。そこで、「記憶活動に取り組むすべての人」をターゲットとしたのだ。一般企業が社員に資格を取得してもらう際の学習ツールとして、介護施設で入居者たちの認知症防止としてなど、活用のフィールドは限りなく広がっている。
さらに海外展開も見据えるモノグサだが、プラットフォーマーでありツールだからこそ、授業内容や翻訳といったコンテンツ面は大きな問題にならない。ローカライズにかかるコストをかなり抑えられることで、世界の教育市場400兆円を見据えている。
最後に
目の付け所に将来性を感じ、コロナ禍でも失速感がまるでないモノグサのCEOである竹内氏とCFOの細川氏は、キャリア・エックスCEOの東海林がリクルートの人事時代に採用した人材。地味で寡黙で真面目、性善説で人を信じ、顧客志向が強い人が「モノグサっぽい」と語る。リクルートでは最年少で営業部門の全社表彰を受賞したCEO竹内氏と、元Googleで竹内氏が口説き落としたCTOの畔柳氏、リクルート時代の同期であるCFOの細川氏、そんな3人のバランスが絶妙で、組織コンディションが常に良いため離職者は1人も居ない。
キャリア・エックスだからこそ、モノグサへの転職にはすでに2人成功している。
一人目は早稲田大学を卒業し、新卒でヤフーに入社、オウンドメディアの広告セールスとして5年活躍した人材。もう一人はNTTデータ、デロイトでコンサルタントを経験した28歳。学校や塾へ営業をし、各社のニーズを吸い上げてプロダクトマネジャーと連携しながら「カスタマーサクセス」を目指す職種はまさに、コンサルタントや営業経験者向き。問題意識が高く、何のために誰とやるのかにこだわる人材に最適と言えよう。