人生100年時代
平均寿命が100歳前後まで伸びる「人生100年時代」を迎え、生きる期間も、働く期間もかつてない長さになっていくことが予測されます。その中で、長くやりがいや充実感を得ながら働くために、キャリア選択時に意識したいポイントを紹介します。
正解のない時代だからこそ、自分の思いを見つめる
これからの時代は、働く期間が長くなるだけでなく、新型コロナウイルス感染症の流行や、それによる産業構造の変化がだれも予測できなかったように、何が起こるかわからず、また、ITの進化により、変化のスピードそのものも非常に速い時代になっていきます。
一言でいうと、それは、「何が正解かわからない時代」であるということ。キャリアの積み方や転職先の選び方においても、従来の社会的評価、例えば「この会社ならつぶれない」「だれもが知っている会社だから安泰」といった評価に従った判断が正しいとは限らない状況になっています。
この状況下で大事にすべきなのは、「自分はどう生きていきたいか?」ということ。正解は1人ひとり異なるので、まずは「自分にとって幸せな働き方とはどんな働き方なのか」を考え、自分で選択していくことが、納得感のある選択につながると思います。
実際、私が受けている転職相談においても、「これからどんな企業に行けばいいのか?」「どのような軸で企業を選べばいいのか?」などの相談を多く受けます。そこでお伝えしているのは、だれもが同意する正解は存在せず、1人ひとりの中にその人なりの答えがあるということ。何が幸せな働き方かを考え、決めるのはその人自身であるということです。
人生100年時代を生きる上で最も重要なのは、「変化力」
一方で、今後、だれでもできるような仕事の需要は減り、新型コロナウイルス感染症の影響だけではなく、コンピューター技術の進歩によってロボットが人間の仕事を代行する時代はすぐそこです。AI(人工知能)の研究を行っている米オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が発表した論文「雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか」では、コンピューターによる自動化が進むことにより、20年後の将来には47%の仕事がなくなるという衝撃の結論が導き出されています。
そうなったときに重要なのは、人としての魅力をつけていくか、何か専門的な知見や教養を持ちそれを武器に戦うことのどちらかです。
そして、さらに重要なのは、常に自分に価値をつけていけるよう、変化を厭わないこと。変化が激しく、その中で長く働き続ける時代においては、常に、学び、変化しながら自分に価値をつけていくことが大事です。「今までこれをやってきたから」ではなく、これから必要なものを感じとって、企業の選択軸を変えていけるといいと思います。
伸びていく産業/事業に着目を
では、どのような選択軸で企業を選んでいくとよいのか。1つ挙げられるのは、当たり前のことですが、「伸びていく産業に身を投じる」ということです。
仕事というのは、自分がやりたいことだけでなく、世の中に求められていることでなければ成り立ちません。そして、いつの時代であっても、その時代の困りごとや必要とされるものに対して解決策を提供できる産業や企業が伸びていくものです。例えば、今、自動車産業がこれだけ巨大な産業となっているのは、自動車が必要とされたからです。
これから必要とされる産業の例を挙げるとすると、
非対面を余儀なくされる巣ごもり消費において、活況となるのはやはりIT関連のサービスになります。ネットを使ったサービスやネット通販は、今まで以上に需要が高まっています。また、大容量が必要とされる高度なオンラインゲームやVR(バーチャル・リアリティ)の事業は、5Gの普及で、巣ごもり消費の拡大とともに、需要を伸ばしていくことが予想されます。
実際に、巣ごもり消費、リモート、コロナ対策に関係する業種の株価は高騰していますね。
例えば、マスクメーカーのユニ・チャーム株式会社では、年初の終値が3,655円であったのに対し、4月7日には年初来高値4,268円となっています。
テレワーク関連の会社である株式会社ブイキューブでは、年初の終値が683円であったのに対し、4月1日には年初来高値1,483円となっています。
また、健康にかかわる産業、DXをはじめとした仕事の効率化や企業の生産性にかかわるSaaS事業、地球環境への負荷低減を意識して事業を行なっている企業などでしょうか。
このようにして、このコロナ禍、またテクノロジーの進展などによって起こっている変化の先に必要とされる産業は何なのかを見極め、その産業にかかわっていく形で自分を変化させていくことが、これからの世の中を生き抜いていく一つの方法だと思います。
私自身も、キャリアアドバイザーとして、1人ひとりの「どう生きていきたいか?」という問いに対する考えに寄り添いながら、希望する生き方を実現する企業を紹介していきたいと思っています。